地球時代、今を生きる学問

日本一忙しい臨床心理学研究室は何をめざすか

心理学を学びたい、東北大を志望したい受験生の皆さんへ

若島 孔文(東北大学大学院教育学研究科 准教授)
21世紀の学問の鉄人シリーズ 河合塾大宮校講演

2013年6月17日(月)


21世紀の学問の鉄人のシリーズ「臨床心理学」が開催

いじめ、引きこもり、新型うつ、惨事・犯罪ストレス…現代人が心のケアを必要とする場面はますます増えています。そこまで深刻でなくても、大学受験を考えると憂鬱になるとか、テスト本番になると緊張してふだんの力が出せない、という人もいるでしょう。そんな心の弱った状態のケアをする仕事は、臨床心理士で、それについての研究を行うのが、臨床心理学です。


河合塾大宮校では、東北大学の若島孔文先生に、臨床心理士・臨床心理学とは何か、そして日本でいちばん忙しい研究室であるとはどんなことか、お話をいただきました。

 

東日本大震災の発生直後から学生とともに被災地に入り、心のケアにあたる

詳細は、改めて、ご紹介しますが、特に印象的だったのは、とにかく実践的であること。学問とは、とかく実践とは遠いイメージがありますが、若島先生の臨床心理学研究室は、東日本大震災の発生直後から学生とともに被災地に入り、被災者や救護にあたった人の心のケアにあたりました。その活動は今も続いているといいますが、その姿勢は、他の臨床心理学者以上に「相談者の心の状態がよくならなければ意味がない」と、強く思っているからだ、と話されました。ちなみに、同じ患者の話を聞くことにしても、精神科医や心療内科医は、症状を診断して薬を処方するためであるのに対して、臨床心理士は一人ひとりの相談者に向き合って、「よくなるためにどうすればよいか」を考えるために聞くとのこと。両者は連携して患者に当たるのだそうです。

 

心の問題には、高校生・受験生の関心も高い

身近な問題を、実際に解決していくという実践的な学問ということもあり、会場の生徒の質問も、高校生・受験生が抱える身近なものとなりました。「鬱の状態を自分で治すことはできるのでしょうか」「相談しに来る人に接していて、先生自身がめいってしまうことはないのですか」…。先生は一つひとつの質問に丁寧に答えてくださりましたが、そこでは、受験では誰でも悩む『緊張をひきずってしまう』ことへの対処法も教えてもくださりました。それはどんな方法か? これは、改めてご紹介します。

 

 

プロフィール

若島 孔文(わかしま こうぶん)
東北大学大学院教育学研究科 准教授

 

1972年生まれ。中学から極真空手を始め、高校時代に全国優勝。大学で心理学のおもしろさに出会い、研究の道へ。空手は現在も師範として指導を続けている。子どもの頃から超のつく愛犬家で、家庭犬訓練指導士としてペット関係の著作も。

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