仲良く「川」の字になって夜空を観察、明るい緑色の流星痕の発生条件を探った!

【地学】佐賀県立佐賀西高等学校 サイエンス部

(2015年7月取材)

左から上野利晃くん(3年)、大島理樹くん
左から上野利晃くん(3年)、大島理樹くん

◆部員数 23人(うち1年生6人・2年生7人・3年生10人)
◆書いてくれた人 大島理樹くん(3年)

 

■研究内容「流星が酸素を光らせる?~高感度撮影による流星痕の写真観測~」

 

私たちは流星痕について研究しました。


流星痕とは流星通過後に残る煙のようなもので、発光時間によって短痕と永続痕に分類されます。このうち、短痕は「対地速度が大きく、明るい流星」で出やすいと考えられてきました。しかし、発光時間が短いため、詳細な観測はほとんど行われていませんでした。そこで私たちは、短痕のうち特徴的な発色である緑色のものを「酸素原子の禁制線の発光」と仮定し、そのうえで流星本体の対地速度・最大光度との関係性を検証しました。


酸素原子の禁制線の発光は、短痕の代表的な成分であり、オーロラにも見られます。

「酸素原子の禁制線の発光」とは、超高層大気中で、紫外線やX線の影響で原子状態となった酸素が、低密度下で流星体との衝突により励起し、発光する現象を指します。地上実験室での再現が難しいことから禁制線 (forbidden line)と呼ばれます。

本研究は、写真観測による、「流星本体の対地速度・最大光度 と酸素禁制線発光の出現率との関係性」の検証を目的としました。


そのために、まずは関係性の有無を判断し、もし関係性があれば、「流星本体の対地速度・最大光度に対する酸素禁制線発光の出現率をまとめた表」の作成を行い、関係性を明らかにすることとしました。

撮影時の設定は以下の通りです。
F値(絞り値):F 2.5
ISO感度:6400~25600
露出時間:1秒
F値は、周辺像改善のため開放から1段絞り、ISO感度は空の明るさに合わせました。
ポイントは露出時間が短いことで、これにより発光継続時間の短い短痕を、流星本体と分離して撮影することができました。


2014年の観測結果は以下の通りです。

この結果から、ふたご群の酸素禁制線発光の出現率が0 %であったことから、流星の対地速度が小さいと、酸素禁制線発光の出現率が低いと言えます。

次に、複数の酸素禁制線発光が見られたペルセウス群とオリオン群において、各群の光度別流星数と酸素禁制線発光の観測数をまとめたものをグラフにしました。

すると、3等以上の明るさの流星では、それぞれの群で酸素禁制線発光を確認できました。また、ペルセウス群では酸素禁制線発光を確認できなかった5、6等の流星ですが、オリオン群ではそれぞれ1例ずつで確認できました。


ペルセウス群の5、6等の流星で酸素禁制線発光を確認できなかった理由としては、「撮影時の露出不足」が考えられます。観測日に、月明かりの影響により空が明るく、ISO感度を高く設定することができなかったのです。


以上の研究から結論を述べます。


まず、流星の対地速度の大小が、酸素禁制線発光の出現率に関係していることがわかりました。


また、オリオン群(66.53 km)では5、6等の暗い流星でも酸素禁制線発光を確認できました。


流星本体の最大光度との関係性については、今後の観測でデータを増やした後に考察します。

今後は、望遠撮影や分光観測にも挑戦したいと考えています。また、千葉工業大学が計画している地球周回軌道上からの流星観測によって得られたデータとの比較も行いたいです。

 

■研究を始めた理由・経緯は?

流星通過後にオーロラの緑色と同様の発光が起こることを知り、流星に惹かれてしまい、気がついたら研究していました。

■今回の研究にかかった時間はどのくらい?

1週間あたり5時間で1年です。

■今回の研究で苦労したことは?

数万枚の写真から目視で流星を検出することです。

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

発光継続時間の短い短痕を捉えるために、露出時間を1秒と短くしたこと。流星を撮るなら普通は10秒~30秒くらいに設定するはずです。 あと、仲良く川の字になって観測するのがポイントです!


発表では、まずは、「流星を観たことがありますか?」「緑色のオーロラの写真を観たことがありますか?」から入って興味を持ってもらいました。

■今回の研究にあたって、参考にした本や先行研究は?


・『流星の短痕を測る』高知工科大学(論文)
     http://kutarr.lib.kochi-tech.ac.jp/dspace/handle/10173/529
・『天体観測の教科書 流星観測編』Martin Beach (誠文堂新光社)
・『流星と流星群』長沢工(地人書館)

【参考サイト】
・すばる望遠鏡公式サイト

観測結果:すばる望遠鏡観測成果「流星が切り裂く大気のトンネルは幅数ミリメートル!~すばるによる画像から初の測定に成功」

・国立天文台「流星の発光メカニズム」

■今回の研究は今後も続けていきますか?

もちろん続けます。より暗い流星や短痕を捉えるための望遠撮影、また短痕の成分同定のための分光観測に挑戦したいと思っています。

■ふだんの活動では何をしていますか?

皆既月食などの天文ショーやISS・イリジウム衛星などの人工衛星を観たりしています。あとは黒板に絵(シュルレアリスム)を描いたり歌ったり…?!

■総文祭に参加して

いろいろな人との出会いがあって良かったです。運営・ボランティアの皆様、酷暑の中ありがとうございました。

★佐賀西高校サイエンス部は、研究発表の化学部門とポスター発表にも参加しています。北島伸一郎くん(3年)が答えてくれました。

左から[化学部門]前村征哉くん(3年)、池田星哉くん(3年)、[ポスター部門]北島伸一郎くん(3年)、松瀬勝朗くん(2年)
左から[化学部門]前村征哉くん(3年)、池田星哉くん(3年)、[ポスター部門]北島伸一郎くん(3年)、松瀬勝朗くん(2年)

■研究テーマ
「高級脂肪酸の単分子膜中における挙動」

■研究を始めた理由・経緯は?

アボガドロ定数を求める実験で正確な値が出なかったので、どのようにしたら正確な値が出るのか興味があったからです。

■今回の研究にかかった時間はどのくらい?

 

1日あたり2時間で2年です。

■今回の研究で苦労したことは? 

 

精度の高い測定方法の開発

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

 

インクの圧を小さくする方法に注目してください!

■今回の研究にあたって、参考にした本や先行研究は?


『分子膜ってなんだろう』齋藤勝裕(裳華房)

■今回の研究は今後も続けていきますか?

続けたいと思っています。今回の研究で、ラウリン酸などの試薬は、シャーレ内の水に溶けていることがわかったので、どのように溶けているか研究したいと思っています。まずは、ラウリン酸の溶け方を調べるために、溶解速度を測定していきたいと思います。

■ふだんの活動では何をしていますか?


中学校へ出張授業をしています。

■総文祭に参加して


様々な研究を見て、多くのことを学ぶことができました。

 

 佐賀西高校サイエンス部の皆さん
佐賀西高校サイエンス部の皆さん
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