高校模擬国連国際大会で日本代表チームが大活躍!

神奈川・浅野高校 小塚慶太郎くん(3年)宗武陸くん(2年)

世界銀行(WB:World Bank)『金融の安定化と低所得国の開発』

自分を信じ、努力を重ねた分だけ強くなれることを実感

浅野高校 小塚慶太郎くん(3年)

◆世界大会に向けてどのような準備をしましたか。

 

世界大会に向けては、「最優秀賞を獲得する」という目標を立て、それに向けまず全国大会の勝因を分析しました。

 

その後、分析で得られた「本質を理解する力」「行動力」「問題解決力」「リーダーシップ」「対人スキル」の5つのスキルを強化しました。具体的には、練習会やペアとの準備などで様々な方法(自分の言っていることをホワイトボードに書き出して図式化など)を実践し、それを自己評価・ペアに評価してもらったりしました。さらに世界銀行東京事務所や外務省に行ったり、浅野高校のOBで外務省に勤められていた方にお話しを伺うなど、

実際に経験した方の視点から様々なアドバイスを頂きました。

 

担当する委員会の世界銀行については、まず世界銀行の設立や業務の歴史・仕組みなど、本を中心に調べました。その結果、世界銀行が重要視する貧困削減に向けてどのような開発が行われるべきなのか、担当する国のカーボヴェルデの国益も考えつつ調べていきました。

 

◆準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。特に、カーボヴェルデは知名度が低い国ですが、どのようにして情報を集めましたか。

 

議題のリサーチに一番苦労しました。議題が「金融の安定化と低所得国の開発」で、全日本大会と比べて議題の範囲がとても幅広かったのでリサーチを念入りに行いました。国際機関が行った開発の歴史から世界銀行の役割、金融知識などについて、図書館で本を借りたり、ネットで検索して調べたりして、40ページほどの資料にまとめました。

 

カーボヴェルデは、アフリカの西に位置する島国ということで、他のアフリカ諸国や同様の島国について調べるなどして、他国との共通点から立ち位置や会議での戦略を予想しました。さらに、実際に日本の立場からカーボヴェルデへの融資を行っているJICAの方からお話や資料を頂き、イメージを立てていきました。

 

◆各国の高校生と比べて、日本の高校生はスゴイと思ったところを教えてください。

 

日本人として感じた強みは、緻密な準備です。議題に関する歴史や背景などの細かい知識、政策の論理など緻密な準備は他国に負けないと感じました。しかしグループをまとめるためには緻密な準備を前提として、惹きつけるスピーチを行ったり声をあげてまとめたりするなど様々なスキルが必要だと感じました。

 

◆会議を進める上でいちばんたいへんだったことは何ですか。

 

「会議の流れが読めない」、「グループ形成の動きが分かりにくい」この2点が大変でした。1点目について、各国がスピーチをして議論する際、全日本大会とは異なり議長が論点整理を行わないまま会議が進みました。そのため会議の流れが読めず、どのように自国を印象付けるか、どのように自国の主張したい論点に持っていくのかに苦労しました。2点目について、全日本大会と比べ世界大会は各国の主張が強く、初めのうちはグループがあまり形成されませんでした。そのため焦ってしまいましたが、今まで準備してきたこと、自分たちのやり方をぶつけよう、と冷静に考えることによって徐々に人が集まりグループを形成することができました。

 

◆大会を通して、あなたがいちばん頑張ったことを教えてください。 

 

180カ国中5カ国しかなれないグループのリーダーとなれたことです。貧困削減を課題としている、開発途上国特にアフリカ諸国をまとめてグループを形成していきました。

  

“mobile banking”という携帯電話を利用した新たな銀行システムを提案し、それを軸としてグループを形成しました。工夫した点は、“mobile banking”を会議全体に普及するために目立つ黄色のチラシを作ったこと、ホワイトボードを活用し他の国の意見を目に見える形にしてまとめることの2点です。特に黄色いチラシは外国人の反応が良く、議長を含め会議全体でこのチラシを回すことができました。その結果、あまりメジャーでないカーボヴェルデの名前を覚えてもらうこともできました。

 

議題に関する圧倒的なリサーチ、“mobile banking”という強力な提案、そしてグループをまとめる力、これら3つの事前の準備を最大限生かすことができました。さらに仲間を大切にし自分を信じることによって、自分の理想としていたグループのリーダーとなることができました。

 

◆今回の大会も含めた旅行全体で、最も印象に残ったことを教えてください。

 

(※海外は今回が初めて)

 

ニューヨークに到着した直後、税関で英語が全く理解できず、とても心配になりました。しかし、怖がることなく、英語を口にしているうちに相手にも伝わるようになりました。その結果、会議では自分の言いたいことがたくさんあったためか、意識せずに英語で話すことができました。

 

浅野高校で模擬国連が始まったのはわずか3年前です。1つ上の先輩が始めて、僕は2代目です。ほとんどノウハウがない中で、挑もうと思ったときにいつも考えていたのは、「盗もう」ということでした。強豪校の人と電話をしたり、先輩に質問しまくったり、ビジネス書を読みまくったり。そうやって盗んでいくうちに、だんだんとただ盗んでいるのではなく自分の力になっていきました。これからもたくさんの後輩が模擬国連を始めたり、このニューヨークを目指したりすると思います。その中で自分の可能性をまず自分自身が信じ、そこから死ぬ気で努力を重ねる。失敗ごとに客観的に分析をし、また自分の可能性を信じる。そうやった積み重ねだけが、自分を成長させ自分を強くすると思います。これからの自分にも言い聞かせていきたいと思います。そして浅野高校だったからこそ、こんな貴重な体験ができたのだと思います。

 

 

人種の壁は自分自身が作り出したまやかしに過ぎない!

浅野高校 宗武陸くん(2年)

◆世界大会に向けてどのような準備をしましたか。

 

今回準備として、大きく分けて「世界大会を知る」「英語を話す」、そして「議題に関するリサーチ」の3つを行いました。

 

まず、世界大会を知るということについてはこれまで海外の会議に参加したことがなく、リサーチをいくら重ねても、本番何もできないという、いわば頭でっかちにはなりたくなかったので、世界大会とはどのような雰囲気なのか、海外の大使たちは日本に比べ何が違うのか、そしてその中でも目立つためのコツや秘訣などを、昨年や一昨年NY大会に出場した先輩方とお会いしてノウハウ等を教えてもらいました。

 

2つ目の英語については、模擬国連はコミュニケーションで成り立っているので、そもそも英語が全然聞き取れなかったらもちろん何もできません。そこでオンライン英会話を始め、外国人講師とひたすらディスカッションの練習をしました。1か月と少しやった程度なのですが、英語力は飛躍的に向上し、会議でもなんとか大使たちの英語にもついていくことができました。

 

3つ目のリサーチについては、全日本大会と同様、議題について担当した議場である世界銀行自体やその過去の取り組みを調べたほか、自分の高校の卒業生で様々な国の大使を歴任された方や、JICA、世界銀行、外務省の方々からのアドバイスを頂いて政策を形成し、そのブラッシュアップに努めました。

 

◆カーボヴェルデは知名度が低い国ですが、どのようにして情報を集めましたか。

 

カーボヴェルデについては、英語で検索してもあまり情報が載っておらず、限られた情報を元に様々な視点から推測し、それをJICAや世界銀行、外務省の担当の方とお会いして確かめる、ということを行いました。

 

◆各国の高校生と比べて、日本の高校生はスゴイと思ったところを教えてください。

 

圧倒的なリサーチ量でしょうか。特に全日本大会では、全員がその議題について綿密なリサーチを重ねた上で、自分の政策についての専門家として会議に参加しているのに比べ、世界大会ではBG(Background Guide:議題解説書)しか読んできていない大使も多かったのが印象的でした。僕たちが担当した議題が、幅広いトピックを含んでいるということもありましたが、議論の質自体は全日本大会の方が高いように思えました。

 

◆会議を進める上でいちばんたいへんだったことは何ですか。

 

やはり英語です。日本で英語を話す時は、相手はいわば日本人用の喋り方をしてくれるのですが、会議中はそんなことはもちろんしてくれず、凄まじいスピードで議論が展開されます。最初は混乱しましたが、途中からは英語がそこまで喋れないからこそ、相手の話に真摯に向き合い、わからないことははっきりと聞きました。結果として、その態度が評価されたのか、たくさんの大使たちの意見をうまく組み合わせ、具体的な議論に持ち込むことができたように思います。

 

◆大会を通して、あなたがいちばん頑張ったことを教えてください。 

 

自分に自信を持つということです。もともと僕はネガティブ思考で、これまで自分に自信を持つことができませんでした。周りの人の方が自分より優秀なんじゃないかと、いつも考えていました。しかし、「特に海外でたくさんの大使をまとめるには、自分に自信を持って堂々と振る舞い、そして自信を相手に感染させることが重要だ」といろいろな人から言われて、このままじゃダメだと思いました。そこで、どうすれば自分に自信が持てるかをいろいろ考えてみたら、「全力を出す」のが結局一番いいんじゃないかと思いました。会議中、本当に自分の全力を尽くしていたら、自分に自信がないとか言っている余裕もありませんでした。たくさんの大使たちをまとめ、そしてその大使たちに自信を感染させられたのだと思います。

 

◆今回の大会も含めた旅行全体で、最も印象に残ったことを教えてください。

 

(※海外在住経験あり 3年間)

 

人種や言語の壁があっても仲良くなれることです。自分は物心つく前、海外に住んでいましたが、日本に帰ってきて10年以上経つとすっかりそんなことも忘れていました。その中で、外国人とも友達になれるんだということを思い出せたのは大きな成果だったと思います。ジョークを言ったら大爆笑されたり、お互いの学校の話で盛り上がったりと、まるで日本にいるときと変わりませんでした。少しクサい言葉になりますが、人種の壁なんてどこにもなくて、結局壁なんてものは自分自身が作り出したまやかしに過ぎないんだと強く感じました。

 

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