情報処理学会第82回全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスターセッション発表

病気で会話が難しい人のコミュニケーションを助けるアプリを作った!

チーム名:並木10回生

柴沼 纏(まとい)さん (茨城県立並木中等教育学校 3年)

「あなたとしゃべりたい 〜画像解析によるコミュニケーションツール〜」

■発表の内容

 

私の祖母が小脳萎縮症という難病を患って5年ほどが経過し、今では病院で寝たきりの生活を送っている。病気の進行に伴い、筋肉が衰え手足が動かせなくなり呂律もまわらないという症状から、会話が困難になってしまった。祖母にとって伝えたいことが伝えられないというのは、すごくストレスなことだと考える。だから、そんな祖母と必要最低限のコミュニケーションが取れるようなアプリケーションを開発したいと思い、今回「あなたとしゃべりたい」の開発をすることにした。喉から発せられる音を解析する方法や顔から画像解析する方法を考えて開発を進めた。限られた動きの中で祖母にあまり負担をかけずに楽にできる動作が「まばたき」だったので、このアプリは画像解析を用いて「まばたきを何回しているか」を解析することにした。まだ開発の余地が残るアプリではあるが、祖母とコミュニケーションをとるという道が開けたのはとても大きいことだと思う。

 

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■今回発表した研究を始めた理由や経緯は?

祖母の病気の症状は、手足の細かい動きは制限されてしまうし、コミュニケーションも取れなくなってしまいますが、意識は健常者と同じようにあるため、伝えたいことが伝えられないということで、ストレスやもどかしさを感じていました。

 

私はそれを見て、祖母が必要最低限のコミュニケーションが取ることを補助する何かがあれば便利なのではないかと思い、開発を考えました。

 

機械や目で動きをとるコミュニケーションはすでに開発されていて、また文字盤もありますが、祖母はそれもうまくできずにいました。文字盤以上に性能が良い物を用意するとなると、お金がかかったり、置く場所がなかったりと、適応しにくい部分が多々あるため、私は、誰でもいつでも簡単に使えることに着目して、スマホで動くアプリケーション「あなたとしゃべりたい」の開発をすることにしました。

 

■今回の研究にかかった時間は?

 

半年~1年程度です。

 

■今回の研究で苦労したことは?

 

吐息による音声解析から、まばたきによる画像解析へとアプリの仕様を根本から変えたところに苦労しました。

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

 

まばたきを測定する機械は既に開発されていましたが、実験に使用するとなると、置く場所や機械を買うお金、機械の操作など難しい所はたくさんあり、みんなが平等に使えるものではありません。しかしこのアプリなら、安価で「誰でも」「どこでも」「いつでも」使うことができるというのが最大のポイントです。さらに、LINEという身近なツールに通知が行くということも重要な点です。LINEに接続されたため、ナースコールなど他のツールへの接続も可能になるのではないかと思います。

 

■オンラインの発表と実際の会場での発表のどちらがよかったと思いますか?

 

実際の会場での発表の方が良いと思いました。言葉と文章では、言葉の方が言いたいことが相手に伝わりやすいからです。また、実際の会場では実践や動画を見せることが可能になるため実際の会場の方がいいと思いました。さらに、他の研究も実際に見たり聞いたり、質問したりでき、つながりや知識が広がると思うからです。

 

■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことは?

 

祖母や、病気や怪我で声が出せなくなってしまった人でも問題なく使えるように、アプリの精度を上げていきたいです。先述したように、ナースコールなどの他の機械につなげたり、まばたきをすれば部屋の電気をつけたり消したりできるようなツールを開発したりと、今回研究で学んだ技術を生かした研究を続けていきたいと考えています。

 

※柴沼さんの発表は、中高生研究賞奨励賞・初等中等教育委員会 委員長賞を受賞しました。

 

第82回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より

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