第14回全日本高校模擬国連大会

希薄になりがちなコミュニケーションの密度を上げる工夫で、ペアや他国の大使との連携を図った

青木研人くん(5年)、田端 開くん(4年)

桐蔭学園中等教育学校(神奈川県) 担当国:ルクセンブルク  

 

 

■担当国を希望した理由を教えてください。

 

「神奈川県程度の国土面積しかないけれど、一人当たりのGDPは世界一位の経済大国」、それがルクセンブルクへの最初の印象でした。興味を持って調べて行くうち、ルクセンブルクの経済力の秘訣は独特の産業体制にあることが明らかになりました。

 

ルクセンブルクは新規産業への投資に積極的であり、まだ世界が宇宙に注目していない頃から、宇宙開発を国家の基幹産業として据えていました。アメリカ合衆国と中国との二項対立になりかねないこの議題において、ルクセンブルクはアメリカ合衆国が主導する「アルテミス計画」にも中国が率いる「一帯一路」にも参加していることも魅力的でした。

 

 

■準備の段階で苦労したことや、工夫したことがあれば教えてください。

 

議題に関する準備

 

今まで国連で話し合われたことや、宇宙の現状について調べることに注力しました。ほとんどの資料が英語で書かれていたので、読むのが大変でした。また、ルクセンブルクについての資料も多いとは言えず、自国の立場を固めるのにも苦労しました。実は、資料が足りずに予測で国策を考えた部分があり、政策全体に対する妥当性にやや自信が足りなかったかもしれません。

 

オンライン会議に関する準備

 

オンラインを理由に会議行動や政策立案を大きく変更したことはありません。強いて言えば、オンライン上で希薄になりがちなコミュニケーションの密度をどう上げるか、ペア間でいろいろと話し合いました。また、オフライン模擬国連では「便利なツール」として定着しているものがオンラインで使えるのかどうか、精査するのにも時間をかけました。

 

 

■大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。

 

ペア間の連携、グループ内での連携を密に取ることを心掛けました。私たちペアは別々に行動したので、グループ内に気を配ると同時に「相方が今、何をしているか」、信頼を持って把握できるようにすることがとても大切だと思っていました。

 

 

■あなたが感じた、オンラインの模擬国連とリアルの模擬国連の、それぞれの長所・短所を教えてください。

 

オンライン模擬国連

[長所]

通信環境が整えばどこからでも参加できるのは大きな利点だと思います。また、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが取り入れられ、今後進化しながら定着していくことと思います。そういう点でも、将来につながる良い経験になると思います。(青木くん)

 

住んでいる場所の関係で大会に参加しづらいなどの問題がなくなり、より多くの人が模擬国連という活動に挑戦しやすくなったことが一番の長所かと思います。本物の国連の会議もオンラインへと移行していることを考慮に入れると、本来の意味で国連を「模擬」しているとも言えるかもしれません。(田端くん)

 

 

[短所]

対面で模擬国連会議をすると、ペアの顔を見るだけでも相手の状況が分かることがあります。また、ほんの一瞬の目配せでも意思疎通を図ることができます。そういった、普段の生活・対面の模擬国連でできていたことが、オンラインではしづらいことが短所だと感じます。(青木くん)

 

リアルの模擬国連の醍醐味であるコミュニケーションの密度が大幅に下がってしまい、これまでのような一体感というのが生まれづらい状況であるのはとても残念です。(田端くん)

 

 

リアルの模擬国連

[長所]

何と言っても論理のみならず、身体全てを使った「知の格闘技」ができることが、リアルの模擬国連の最大の長所だと思います。リアルの模擬国連で最後に問われるのは、気力と体力だと思います。(青木くん)

 

コミュニケーションの密度がとても濃いことです。議場のみんなとのコミュニケーションを通して、刻一刻と変わる議場を俯瞰することがリアルの模擬国連の醍醐味だと思います。(田端くん)

 

 

[短所]

特に普段の練習会議で言えることですが、遠方の人と一緒に会議をすることができない点が短所と言えると思います。近くに住んでいる人とばかり会議をしていると多様性が足りなくなり、会議に地域の「型」ができてしまうかもしれません。(青木くん)

 

全日本大会は東京で開催されるので、地方の高校生が参加しづらくなってしまい、興味はあるのに参加できないという辛い思いをする方が出てくるかもしれません。(田端くん)

 

 

■2日間の感想を教えてください。

 

この大会は先輩達から聞いていた通り、素晴らしい場でした。これまでのどの会議よりも味が濃かったこと、楽しかったことが第一です。そして、私はこの大会を通して、改めて会議はみんなで作るものだということを実感しました。

 

あらゆる成果文書は、多くの人々の協力のもとで作られるものです。私たちは提出国を担うという決断をし、責任を引き受けたのに、決議案が提出できなかったことは今でも悔やまれます。自分に何が足りなかったのか、これから何をすべきなのか、後輩達に何を伝えるべきなのか、しっかりと考えたいと思っています。(青木くん)

 

 

今回の大会で今まで自分が知らなかった自分の一面を知ることができたというのが一番の収穫です。今までの自分とは違う自分に会えたことがとても嬉しいですし、この活動をしていて良かったと思いました。私たちは今回の活動から得た経験や知識などを、部活に還元するところまでが仕事だと考えています。これからの取り組みが楽しみでなりません。(田端くん)

 

 

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