グローバル・キャンパスツアー

アメリカの田舎町でのリベラルアーツ教育が魅力

小宮貫太郎さん DePauw University/デポー大学(アメリカ・インディアナ州)経済学専攻・メディア学副専攻 2年

海外の大学ってこんなところ

僕の通っているDePauw Universityは、インディアナ州の田舎町にある生徒数2000人強の小さな大学です。規模は小さいですが、学術面では約30個もの専攻があり、生徒数:教員数は9:1と、リベラルアーツカレッジらしい少人数教育が魅力です。音楽学部もあり音楽が盛んで無料コンサートが頻繁に開かれている一方、スポーツでは全国大会出場チームも所属しており、様々な運動設備が整っています。また1877年に最初の日本人留学生を受け入れて以降、日本との繋がりが続いていて、現在は交換留学生も含めて過去最多の26名の日本人が在籍しています。

 

大学公式サイト(英語)

Wikipedia(日本語)

同級生による大学紹介記事(日本語) 

 

 

■現在の時間割、宿題の量や種類、自習のしかたや自習する場所は?

 

リベラルアーツカレッジでは、日本の大学や、アメリカの中でも総合大学と呼ばれる大きな大学と比べ、授業数自体は少ないことが多いです。DePauwでは1授業週3時間で1単位となっていて、僕はこの秋学期に4.75単位分の授業(回帰とシミュレーション、ニュースライティング、倫理学と経済学、タップダンスなど)を取っています。毎日午前と午後に1コマずつ授業があるといった感じです。

 

授業が少ない代わり全てのクラスでほぼ何らかの自習課題があり、リーディングのように提出しなくて良いものでも、やってこないとディスカッションに参加できないなど勉強しないとどうしようもない環境があるので、全ての学生が基本的に夜まで勉強しています。自習場所はいろいろな建物に用意されており、特に図書館は通常の平日は翌日の朝2時まで、期末試験期間中は24時間営業なので僕もよく利用しています。

 

■どんな学生がいるの?

 

インディアナ州や、近隣のイリノイ州(シカゴ周辺)、オハイオ州などから来ているアメリカ人が多いですが、多様性を重んじる学風に沿って留学生人口も増えており、10%を占めています。留学生の出身国は中国、ベトナム、パキスタンなどが多く、日本人は過去最多で今年20人超が在籍しています。アメリカならではと感じる点は、軍隊に入る前・後の学生が少数ながら在籍していることで、時々制服姿の方を見かけます。

 

 ■学校行事・クラス行事は?

 

隣の郡に位置するWabash Collegeとのアメリカンフットボールの定期戦「Monon Bell Classic」が、毎年恒例11月に行われます(ちなみにWabashはアメリカでも近年は珍しくなった、全生徒男子のみの男子大です)。試合に勝った方が、優勝杯ならぬMonon Bellという鐘をその後1年保有することになっていて、DePauwは昨年惜しくも1点差で敗れてしまったため、第125回目の今年はリベンジを果たし戦います。フットボールのシーズン中最も重要な試合なので、生徒・卒業生・保護者がフィールドに集まり、tailgate(試合前のパーティ)を経て、チアリーディングに率いられて応援するという秋の一大行事です。

 

■休日はどのように過ごしてる?

 

立地と交通の関係で、都市部ほど娯楽はありませんが、なんだかんだ日曜日の午後になるともうみんな勉強を始めなければいけないような環境なので、学期中はそこまで不自由は感じません。限られた中では、2階建てで設備が充実したジム、地元のレストラン、毎週何かしら行われているコンサートや試合などに行くのが楽しみです。夜は後述のフラタニティなどで行われるパーティがとても盛んです。

 

またキャンパスから歩いて30分ほど離れた場所にある「ネイチャーパーク」という広大な土地を大学が所有していて、森林や湖、そしてリフレクションセンターがあるので、そこに行って気分転換することもあります。

 

■就活やインターンシップは?

 

日本人学生について言えば、卒業後にアメリカで就労ビザを取得するのはとても難しいので日本企業に就職するか、そのまま海外の大学院に進む人がほとんどです。就活については国内よりも、毎年11月開催の「ボストンキャリアフォーラム」といった海外大生向け採用イベントで内定を取る先輩が多いです。

 

 

夏休みが3ヶ月と長いため、低学年から日本で長めのサマーインターンシップに行く人も多く、僕も今夏10週間ほど東京の英字新聞社でインターン記者として働いていました。大学に残って研究活動をしている人も数人いました。他にも、休学扱いにならず、単位をもらいながら1学期間インターンシップをする仕組みもあるので、留学ではなく(orに加えて)働きながらアメリカ国外で学期を過ごす人もいます。

 

大学では

■どんな分野の学問に興味がある?

 

経済学が専攻、メディア学が副専攻です。また、哲学を2番目の副専攻とすることも考えています。

 

僕はもともとジャーナリズムに興味があったのですが、それ自体は技術であって学問ではないと考え、社会問題を定量的に読み解き伝えるための道具として数理経済学を専攻に選びました。副専攻のメディア学ではニュース制作の実践の他、人文・社会科学的なメディアの分析も学んでいます。また最近は、インターネット以後大きく変貌を遂げたニュースメディアをビジネス主体として見るという、逆方向の関係性にも注目しています。

 

■クラブや課外活動は?

 

僕はジャーナリズムに興味があるので、学生新聞で記者・デザイナー・Webマーケターとして働いています(メディア関連活動には補助金が用意されていて、少しですが給与をもらうことができます)。またアウトドア&ロッククライミングクラブ・J(Japanese)クラブ・瞑想クラブ・コンサルティンググループなどに顔を出しています。

 

他には、スポーツに関しては、日本でいう運動部のようなvarsityとサークルのようなintramuralという2種類の団体があり、フットボールフィールドを始め充実した環境で活動しています。芸術関連だと、デポーには音楽学部が併設されていることもあり、オーケストラやコーラスなど様々な音楽組織が活動していて、一般生徒も参加しさらに音楽の単位をゲットすることができます。

 

またデポーではグリークオーガニゼーション(男子はフラタニティ・女子はソロリティ)という学生組織が現在も盛んで、アメリカ人学生を中心に、こういった組織に入っている人が多いです。

 

大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ

■Intermediate Microeconomic Theory(中級ミクロ経済学)(1年後期)

 

Excelを使った計量経済学の著書を持つ教授による少し変わった経済学のクラスです。1時間の授業が週3コマあり、生徒数は20人ほどでした。

 

価格・ゲーム理論の根底にある数学と、身近なソフトウェアを用いた応用を同時に学ぶことができたのが新鮮でした。例えば需要曲線を求める際に、紙とペンで偏微分方程式を解くだけでなく、Excelのアルゴリズムの力技で近似値のグラフを出す、といった具合です。キューバ系でアメリカ経済史が専門の教授のユーモア溢れる話が面白く、オフィスアワーに質問に向かうと丁寧に解説してくれたのも印象的でした。

 

■Sub-Saharan African Music and Dance(サハラ以南のアフリカの音楽とダンス)1年冬学期

 

リベラルアーツカレッジでは初年度に幅広い分野の授業を取ることが義務付けられていて、そのうち人文/芸術系要件を満たすために取った3週間の冬期集中クラスです。最初の週にアフリカ大陸全ての国と都市名の小テストがあったかと思えば、毎日1時間ダンスの時間があり、他にも西アフリカの楽器体験や毎回のディスカッション、映画鑑賞、グループプレゼンなど、厳冬のなか頭も体も使って学んだ3週間でした。

 

アメリカでは、歴史・社会における人種の問題もあってアフリカに対する関心が高く、そうした視点を通して世界の他地域の文化を学ぶことができたのは良い経験でした。最終日には音楽学部の大ホールを貸し切って、生徒全員がガーナの歌・楽器・ダンスのコンサートに出演しました。

 

進路について話そう

■海外の大学で学ぶことを決めるきっかけ

 

直接のきっかけは、高校2年生の夏に校内で開かれた講演で、アメリカのリベラルアーツカレッジの教育について聞いたことです。ただ講義を聞くだけの高校の授業に退屈していた僕は、アメリカの大学での勉強にときめきを感じました。旅行以外の海外経験のないいわゆる「純ジャパ」でしたが、たとえ言語の壁を超えてでもそこに行くことに意義があるように思いました。またその後進路について考える中で、昔からニュースに興味があり新聞制作活動などを続けていた僕にとって、ジャーナリズムを学ぶにあたってアメリカは最適な選択肢でした。 

 

■進路を決めるに当たって、あなたがとった行動

 

TOEFL・SAT受験といった純粋なテスト勉強は専門の予備校に通いましたが、志望校選びやエッセイ執筆の上で大切だったのはリサーチと自己分析です。具体的には、奨学金財団や予備校、大使館などが主催するイベントに足を運んで情報収集するとともに、海外大生が運営するサマースクールで自己分析の基礎を学び、同じ志望の先輩や仲間と知り合って相談を繰り返しました。

 

また高校の成績維持も大事なので授業はしっかり受けテスト勉強も頑張っていました。そのおかげで、アメリカの大学への出願が終わった後にセンター試験を受け、日本の国立大学も併願することができました。

 

学費は最大の問題でしたが、折しも海外大志望者への給付型奨学金が多く新設された時期で、ある財団に支援していただくことができ、現在の進路に決めることができました。

 

■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと

 

高校の勉強に加えて自分の興味・好奇心を追うことに時間を使うといいと思います。人生設計を作るというほどのレベルに達しなくてもいいと思いますし、1つのことを継続するのもいろいろなことにチャレンジするのもどちらも大切だと思いますが、進路に関しては高校を卒業してしまうと路線変更が難しくなっていくはずなので、今のうちに自分のパッションを探して迷って没頭してみてください。

 

高校時代に読んでおきたい本

『歴史とは何か」

E.H.カー 清水幾太郎:訳(岩波新書)

高校生の頃、世界史の授業が好きで手にとった歴史哲学の本です。過去の出来事が歴史上の事実となっていく過程や、因果法則・進化といった歴史観について講義を基にわかりやすく書かれていて、知的好奇心を刺激させられたのでおすすめです。

 

歴史学だけでなくどんな領域でも、「何かについて学ぶとは何か」について学ぶことは、大学の学問の1つの特徴であると思います。高校卒業後の進路を考える時、自分が学びたいと思っている分野の生まれた背景・発展の過程・社会の中での目的などについて調べてみるのもいいと思います。

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『数学ガール(シリーズ)』

結城浩(SBクリエイティブ)

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『知識人とは何か』

エドワード・W・サイード 大橋洋一:訳(平凡ライブラリー)

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『日本の歴史をよみなおす』

網野善彦(ちくま学芸文庫)

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『短篇コレクション 2』

池澤夏樹:編 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)(河出書房新社)

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Supported by グローバルな学びのコミュニティ 留学フェローシップ

http://ryu-fellow.org

 

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