みらいぶ特派員 取材後記

高校生の熱意に感動!分野を超えた考え方、理論を大切にする姿勢。将来が楽しみな高校生たちへ

今回の発表部門の取材は、みらいぶの大学生特派員が行いました。各部門の取材を終えて、発表への感想、思いを語ってもらいました。


左から 登阪亮哉くん、猪股大輝くん、高島崚輔くん、山田修平くん、前田智大くん

[物理部門]

山田修平くん(京都大学工学部 1年)


総文祭の自然科学部門を2日間取材させていただき、最も印象に残ったのは参加者たちの実験することへの意欲でした。高校生の自分にとって実験とは授業の一環に過ぎず、あまり楽しいものではなかったので、自らの疑問を解決するために計画し、実行する実験の楽しさを知っている彼らがとても羨ましく映りました。

もちろん、物理は実験を行うだけでなく理論付けることも重要です。闇雲に試行を繰り返して帰納的に結論を出すだけではなく、教科書に載っているような単純な公式から複雑な現象を解析したり、または大学生が習うような高度な数学を使用したりと、たくさんの学校が研究の理論部分を大切にしていることにも感心するばかりでした。

また今回は生物電池や生体信号など他部門と融合している研究も幾つか見られました。高校生時代は教科という括りに囚われがちですが、既に分野を超えた考え方をしている彼らの将来が楽しみです。全体的に研究のテーマが多彩で、かつプレゼン方式にも工夫を凝らしていたので、とても楽しめる大会となっていました。

 


[化学部門]

高島崚輔くん(Harvard College 1年)

 

答えのない問いに向き合い続ける力。

2日間の取材を通して見えてきたのは、高校生たちのそんな力でした。研究を重ねてきた高校生は、いかに仮定を立て実験を繰り返し、研究成果を出すことができるか。登壇者として発表した高校生は、いかにその成果を、わかりやすく魅力的に伝えることができるか。

それぞれの問いに対して、彼らが高校生活をかけて向き合い続けたからこそ、当日会場に足を踏み入れたとき、なんとも言えない熱気に襲われたのだ、と感じています。

ただ、この2日間は彼らだけにとっての晴れ舞台ではありませんでした。舞台裏で奔走していたスタッフの高校生もまた、「総文祭を成功させられるか」という答えのない問いに向き合い続けたのだと思います。表舞台で輝いた高校生はもちろん、裏方で完璧にそれを支えた高校生の存在こそが、総文祭成功の大きな力となったのだと実感しました。

奇しくも大学で、そして海外で学ぶ者として、この「答えのない問いに向き合い続ける力」は今の自分にとっても最も大切な力です。2日間、力みなぎるたくさんの高校生に出会えたことで、今後の学生生活を送る上で大きな活力をもらうことができました。

研究者のみなさん、登壇者のみなさん、そしてスタッフのみなさん。素晴らしい2日間をありがとうございました。今後の更なるご活躍を陰ながら応援しています。
 

 

[生物部門]

前田智大くん

(Massachustes Institute of Technology,  electric engineering&computer science

2年)

 

発表したすべての学校が自分たちの興味を突き詰めて、しっかりと考えて実験などを組み立てて結果を出していて、これから研究者になろうとしている自分に喝を入れられたような刺激を受けました。素朴な疑問を持ち続けていた学校や、社会問題に関係する研究や、これまでの研究手法を疑問に思って新しい手法を試すような研究もあり、2日間にわたる長い時間であったのにもかかわらず、すべてのプレゼンを楽しんで聞くことができました。中には大学の研究室で行われているような研究もあり、ただただ圧倒されることもありました。プレゼンも、1年間の研究を12分間にきれいに凝縮して論理的にまとめられており、多くの情報を簡単に理解することができました。

今回は記者として、興味の惹かれた学校の発表を要約するという役で参加しましたが、自分自身も研究をもっとしていきたいという気になりました。高校生の熱意に、感動しました。これからも、総文祭で発表した先輩の姿を見た高校生が来年も、そしてその先も研究を続けていき、素晴らしい結果を生み出し続けていくことでしょう。高校では甲子園を始めとするスポーツが注目を集めますが、研究や学問はそれと同じぐらいクールなことです。総文祭だけにとどまらず、全国に研究の魅力が広まればいいなと願っています。
 

[地学部門]

登阪亮哉くん(東京大学教養学部 1年)

地学部門の発表は、どれも高校生のみなさんが普段の生活や活動の中から出た素朴な疑問を解明しようとしていて、その熱意に思わず引き込まれました。みなさんが楽しみながら研究している様子が目に浮かぶようでした。

素朴な疑問とはいえ、その研究内容自体は科学的手法を用いた専門的なものでした。中には、数千ものサンプルを扱っていた学校もあり、まとめられたグラフを見ながら圧倒されていました。数か月にもわたる研究をたった12分で発表しなければならないということで、各校で様々な工夫が見られたのも印象的でした。スライドにたくさんのアニメーションを入れている学校や、グラフを色分けして視覚的に差がわかるようにしている学校など、見ていてとてもわかりやすかったです。


先輩の研究を受け継いだ発表もあれば、自分たちで全く新しいテーマを設定した発表もあり、来年はそれらがどう発展しているのか、あるいはどんな新しいテーマが見られるのか、楽しみになるような研究ばかりでした。
 

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 <レポートおよび撮影>みらいぶ特派員 猪股大輝くん(早稲田大学教育学部1年)

 

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