スマホを使ったクイズラリー登場ーー文芸部が文化祭を変える!
〜学校をノベル空間にした!! 「学会」でも注目

神奈川県立柏陽高校 文芸部 根本美由樹さん 小澤詩織さん(3年)

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その3

迎えた文化祭本番はトラブル続出 

~でも新しい読者層の開拓にはなったかも

2014年9月28日、いよいよ文化祭当日です。徹夜の作業で目を真っ赤にはらし学校に行った早朝、アクシデントが発生しました。チェックポイントのポスターが誰かに撤去されていたのです。ここは読者がゲームにアクセスできる重要なポイント。「すごく悔しい!」と根本さん。泣き目で貼りなおしました。


さらに2~5部のチェックポイントに計200枚のDr.コバメモを配置しました。なぜって、メモはこのノベルラリーの重要なヒントなので。初日、高校の卒業生と在校生がゴールしました。しかし設定していたアクセスカウンターが動かないトラブル発生も発生。2日目、少し改善し、ゴールにたどり着いた人も増えました。

根本美由樹さん×小澤詩織さん
「自分的にはこんなに面白いのに、何が足りなかったのかなあ?」
「課題はもう山積みだよ!」
「部誌にスマホゲームの参加メモを挟んで、配ったり」
「ゴールの文芸部部室に、QRコードを置いて、部屋でゲームに参加できるようにしたり」

「部室でもっと親切なクイズのヒントを出すと、ようやくゲームオーバーできた人がいた」

「ヒントの出し方は大きな課題だね」
「でも文芸部の存在を知らなかった人がゴールできたし、新しい読者層の開拓になったかも」

 

大学の先生に交じって論文発表!

~新しい文芸部、新しい文化祭を発見できるような気がする

文化祭の話はこれで、終わりです。しかし事後潭があります。根本さんと小澤さんは2015年3月、情報処理学会で論文発表したのです。きっかけは、高校の情報の先生から「君たちの作ったものはスマホを利用した新しい可能性を拓く独創性がある、論文にしてみたら」と勧められたから。でも根本さんたちは、研究のために始めたわけではありません。だから論文なんて…と思ったそうです。思うように行かずショックが大きくて…。そういうこと求められても…という気持ちだったと言います。「ただ、それでも今後の後輩に役立つのならば、整理する機会として論文に出してみようと思ったんです」。


ところが意外にも、学会で話したら、情報の専門家の大絶賛を受けたのです。根本さん、小澤さんは、大学の先生、研究者を目指す大学院生、高校の情報の先生たちの発表などに交じって、情報処理学会の「コンピュータと教育研究会」の129回研究発表会の学生奨励賞を受賞しました。

 

◆論文はこちらから

<国立情報学研究所の論文データベースへのリンク>
「高校文芸部による文化祭でのスマホを利用した作品展示の試み」


質疑応答の時間に、ある先生は「今はやりの脱出ゲームぽい感覚が素晴らしい」と礼賛し、別の大学の先生は「大変な力作。ただクイズが少し難しいのでは?」という発言。

 

それに対して、根本さんたちは、ウェブアンケート例から「とても面白い企画だと思いましたが、クイズが難しい~‼ 部員の方にヒントをもらってようやく正解にたどり着きました」という感想や、「ゲームにのめりこんだ」「予想以上に楽しかった」「とても面白い企画」「女子より男子、保護者より子どもが喜んだ」という読者の反応を示しました。


学会の先生たちは私たちの何を喜んでくれているんだろう? 私たちの作ったゲームは、今の高校生が普通に思っていることをやっただけで、こんな程度当たり前じゃない??と根本さんたちは戸惑いながらも、その後、クイズの難しかったことを反省、今年になってクイズのヒントを修正。よりわかりやすいものに仕上げています。クイズの解答・解説も新たに加えています。興味のある人は覗いてみてね。

 

根本美由樹さん×小澤詩織さん
「少し偉そうなことを言います。この楽しさを後輩にも伝えたい。でもゲームが好きだから情報系の勉強をする人たちにもギャップを、私は感じています。彼らは頭がいいから何でもパパパと無難にやってのけるけれど、本気でものを作って見ないとわからないことがある」
「私は、実際、身近な世界でもっと面白いことはでき、それが発見になるのではと思う」
「そうすると今までにないような文系理系融合型の文化祭や高校文化部のあり方も発見できるような気がするよね。だから、やってみることこそ、貴重だと思う」
「学校もそうなると、もっと面白くなるし、そうしたい」
「再来年に創立50周年になるんですが、そんな時、こういうロールプレイングケームがあれば、なんて…」

「私たちは卒業しているけれど…(笑い)」

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