世界に飛び出そう! ロサンゼルスで活躍する日本人からのメッセージ

フォトグラファー飯富崇生さん・旅行ジャーナリスト芦刈いづみさん

vol.4 アメリカでの生活〜治安とお金のこと

ニューメキシコ州:ホワイトサンズ
ニューメキシコ州:ホワイトサンズ

私たちがよく聞かれるのが、「アメリカは安全か?」ということ。これについてはあまり心配はいりません。アメリカの危険人物というのは、見るからに危なそうな雰囲気で、危ないエリアに住んでいます。だから、そういう人や場所に近づかなければ滅多に危険な目には合いません。実際、私たちは、アメリカで銃を持って歩いている人を見たことはありません。

 

前にもお話したとおり、アメリカ人は他人に親切にしたくてしかたない人たち。先日、スタンドでガソリンを入れていると、とあるお年寄りがよろよろとコンビニに歩いていきました。それを見た若者がそのお年寄りに向かってダッシュしたのです。ブラックのベントレーに乗って、大きな音で音楽を流して、ドレッドヘアに$マークのネックレス。どう見てもギャングみたいな若者だったので、一瞬、緊張しました。が、その若者は先にコンビニのドアを開けてお年寄りを通してあげただけでした(笑)。

 

私たちの75歳の女性の友達は、大きな交差点で転んだことがあるそうです。すると、いちばん前の列に停まっている車に乗っている人たちが全員降りてきて、一人は交通整理を始め、一人は電話をかけて救急車を呼び、残りの人たちで、その友達を安全なところまで運んでくれたとか。誰ひとりクラクションも鳴らさず、お互いの仕事ぶりを讃え合っていたそうです。

 

ロサンゼルスでは98もの言語が話されています。それだけたくさんの人種が住んでいるのですが、ケンカも起こらず日々平和です。日本人は、日本にいれば、現在中国や韓国との間に微妙な緊張感があるのかもしれません。けれどもロサンゼルスにいれば同じアジアの隣人として仲良くしているし、他の国の人々も「同じ仲間だろう」という目で見ています。チャイニーズレストランやコリアンレストランに行けば、「同じアジアの友人が来た」と歓迎してくれます。

 

とにかく、アメリカではあまり人が怒ったりしないのです。10人でファミレスに行けば、店員さんはほとんどの場合注文を間違えます。「肉料理の付け合わせは、4人がフライドポテト、3人がマッシュポテト、3人がポテトサラダ」なんて複雑な注文をしようものなら、もう無理。かなりの確率で全員フライドポテトがのった料理が出てきます。それでも誰も怒らず騒がず、「すみません」「いいよ、いいよ」で済んでしまう。そういった日常では、アメリカは日本よりはるかに平和なのです。

 

次にお金ですが、私たちは2人ともカリフォルニア州立大学に留学しました。日本の地方出身の人が東京でひとり暮らしをしながら私立の大学に通うのよりも、アメリカに留学して州立大学に通う方が、トータルのコストは安くすみます。生活費は東京の3分の1くらい。何より食費が安く、自炊をすれば、2人で1週間20ドル(約2000円)もあれば十分やっていけます。

 

 

メキシコ:グアダラハラ
メキシコ:グアダラハラ

<おわり>

■旅行ジャーナリスト 芦刈いづみさんのおススメ!

●『時計じかけのハリウッド映画 -脚本に隠された黄金法則-』(角川SSC新書) 著者:芦刈いづみ&飯富崇生

ハリウッド映画の進行は、コメディからアクション、サスペンスに至るまで、ジャンルを問わず、一定の法則が当てはまります。世界中の人々をわくわくするために緻密に計算された設計図が、ハリウッド映画の脚本の中には隠されているのです。この本では、100本以上の映画を例に取り、ハリウッド映画の脚本の仕組みを紹介しています。ありがたいことに、読売新聞、日経新聞をはじめとする大手新聞社の書評にもピックアップされ、大手書店映画本ランキング1位にもなりました。さらに、その年の新書大賞の「芸術ジャンルのおすすめ3冊」にも選ばれています。

 

実はこれは、私たちがアメリカの大学と大学院で学んだことをまとめた本です。アメリカの大学は楽しかったため、授業内容の習得度が高く、授業で使ったノートを見ながらこの本を仕上げました。この本を読めば、映画が100倍楽しくなること、間違いなしです!また、アメリカの大学の授業の様子、先生やクラスメートの話なども書いているので、留学を考えている人にもおすすめです。

 

●シルク・ドゥ・ソレイユ

 

世界最高のエンターテイメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」。世界の超一流のパフォーマーを集めたこのショーを見たら、ワクワクやドキドキの他に必ず感じるものがあります。日本でも巡回ショーが行われますが、ぜひ、ぜひ、ラスベガスの常設ショーを見てみてください。絶対に人生が変わります。

 

■芦刈いづみさんにQuestion!

●Question 1.  芦刈さんのご専門を、大学で学ぶとしたら、どんな学問や研究に相当しますか。

 

私は旅行ジャーナリストで書くことを仕事にしています。アメリカをメインに世界を旅して、その国や地域で見たことを文章にして伝えています。取材テーマは様々なので、大学のどんな分野、どんな専攻でも、この仕事につながります。自分の好きなことを学ぶといいと思います。

 

●Question 2. どうしてこのお仕事についたのでしょうか。

 

私は書くことがすごく好きでした。小学校1年生の頃、毎日、宿題で日記を書いていて、それがとても楽しかったのを覚えています。小学校5年生のころ、友達とお揃いの日記帳を買って書く約束をしました。友達はすぐにやめてしまったようですが、私はその後、何冊も何冊も書き続けました。とにかく書くことが楽しかったんです。

 

インターネットが登場し、その初期の頃からホームページを作り、紙の日記からネットの日記にシフトしました。結局書くのが大好きで書き続け、そのままそれが仕事になりました。

 

●Question 3. どんな中学時代、高校時代を過ごしましたか。

 

中学校時代、陸上部に所属していました。小さい頃から足が速かったので陸上部以外の選択肢は、私の中にはありませんでした。1年生の最初の試合の時です。私は100mを希望しましたが、各学校3人までの枠に入ることができませんでした。そこで、「面白そう!楽しそう!」という理由だけで、80mハードルと100mハードルに出ることにしました。すると、1年生でいきなり両種目で決勝進出。それがきっかけでハードルが面白くなり、ハードルの選手になりました。その後、中学、高校と陸上部でハードルを続け、市や県大会でいつも表彰台に登りました。

 

このハードルとの出会いが、その後の私の人生に大きな影響を与えています。ここから学んだ一番大きなことは、「面白い!楽しそう!」と思って始めたことはうまくいくということです。そして、ハードルで良い結果を収めたことは、私に「何でもやればできる」という自信を与えてくれました。この中学、高校時代の体験が、私の人生の自信であり、これがあるから、何に対してもポジティブで「やればできる」と思える自分がいるのだと思います。

 

●Question 4. 充実した今を生き、未来を考えるために、高校時代にしておきたいことはありますか。

 

海外に出てみてください!日本から外に出ることは、すごく大切です。世界に出ると、自分が今まで当たり前だと思っていたことが全く違ったり、お互い言葉がわからなくても、人と人はちゃんとコミュニケーションができることがわかったり、毎日学びがいっぱいです。そして、世界に出てみることで、日本の良さもわかりますし、もっともっと日本のことを知りたくなります。

 

また、何でもチャレンジしてみてください。私のハードルのように「面白そう!楽しそう!」と思うことはとにかくやってみてください!高校時代にチャレンジする楽しさを体験すると、大人になってもチャレンジした時のワクワクや結果を生み出した時の興奮を忘れません。それらの経験が、大人の自分に大きな影響を与えてくれると思います。

 

飯富崇生オフィシャルサイト
2人が運営している世界中の面白い情報を検証するサイト「Seven Seas Discovery

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東京都立西高校で、フォトグラファー飯富崇生さんとジャーナリスト芦刈いづみさんの講演会を企画・実行したのは、「みらいぶ」の連載でもおなじみの西高4年生・新造真人くん。彼はなぜ、この講演会を開こうと思ったのか。その理由を聞きました。

 

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