自分らしく生きて、社会を変える

女子力アップセミナー

第2回

声楽の経験ゼロで、5000人の中からミュージカルの主役をつかんだ新妻聖子さんの「女子力」

[お話する人] 新妻聖子さん (ミュージカル女優)


[インタビュアー] 東京女子大学大学院文学研究科院生 松紀枝、橋本実季
         高校生 みき、なぎさ、りさ

2013年1月14日。東京に大雪が降った日でした。

(2)国際法を学ぼうと思ったきっかけは、生まれついての正義感

高校生:オーディションを受け続ける日々に、新妻さんを支えたものは何だったのでしょうか。高校生は、これから人生のいろんな苦しいことに出会うと思うので、アドバイスをお願いします。

 

新妻:私は日本に1998年の6月に帰国して、すぐ祖師谷大蔵にあった河合塾の女子寮に入って、3か月間河合塾に通いながら、帰国生入試の勉強をしてたんです。一般入試の方に比べたらごくわずかな受験期間なので、辛いとか言ったら本当に怒られると思うんですが…。その女子寮でも、帰国子女チームは、危機感の無さが抜きんでていましたね。「わーい!日本だ!」って浮かれてて(笑)。他の方は全国から本当に1年間勉強をするためだけに寮に入っていましたから。私たちは、勉強はやっているんだけど、完全に浮いていましたね。


でも、それなりに結構辛い時期がありましたよ。私の人生初の大学受験は某私立大学だったんですが、その大学はアメリカからの帰国子女を優先的に受け入れる方針で、私のような東南アジアからの帰国子女は面接もさせてもらえず書類ではじかれてしまって…。その私立大から届いた不合格通知が、受験での初めての挫折でした。寮の私の周りはアメリカからの帰国子女ばっかりだったから、私以外はみんな合格だったんですよ。彼女たちは他にも受験するんだけど、とりあえず合格しているから余裕の受験生活で、私一人が何の保証もなくとり残されたような気持ちになって、寮ですごく泣いてたのを覚えています。夜フトンの中で、「もう私に未来はないんじゃないか、うー」って、唯一の娯楽のラジオのオールナイトニッポンを聴いて、泣きながら頑張りましたよ。


だから、受験で一番つらかったのは書類審査で落ちたことかな。せめてペーパーテストのチャンスを与えてくれれば、一目会ってくれれば、まだ頑張る余地はあったのに、って。で、落ち込みつつ、その後は気持ちを切り替えて他の大学の論文対策等を頑張りました。結果的に、第一志望の上智の国際関係法学科に受かったからよかったですね。

 

「ミス・サイゴン」より (写真提供 東宝演劇部)
「ミス・サイゴン」より (写真提供 東宝演劇部)

---法学部にもともと興味があったのですか?

 

新妻:そうなんです。帰国子女だし、国際弁護士とかかっこいいなと、なんとなく思っていた時期があったりとか。もともと正義感が強いので、政治家になって世の中を変えようとか思ったり、あとはまあ、就職に有利だろうなと思って法学部に行きました。

 

---正義感が強いのは昔からですか?

 

新妻:生まれつきかなと思います。私は昔から学級委員をやるような子だったんですが、3歳年上の姉はすごくおとなしくていじめられていて、その姉を泣かせた男の子を私が泣かせてたくらいだから(笑)。「うちの姉を泣かせたのはどいつだ!」って。だから昔から正義感は強かったと思いますね。

 

---そういう正義感を持っていらしたら、バンコクで何か感じられたことはなかったですか?

 

新妻:子どもだったので、その時はあの国の状況をちゃんと把握できなかったけど、でも脳裏にはしっかり焼き付いたまま大人になって、いろいろなことを知っていくうちに、「あ、あの時に見たあれはこういうことだったのか」と。タイという国は今急激に発展を遂げているんだけど、一方ですごく貧しい方もいて、街にも物乞いの方とかがたくさんいるんですよ。ただ貧しいというだけではなく、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の後遺症かなって思う方とかもいたり。「ミス・サイゴン」をやりながら、そういう方々のことを考えるようになって、やっぱりベトナムとタイは同じ東南アジアだからつながってるんだなと思ったり。後から自分の記憶と知識が結びついていくことがありますね。

 

プロフィール

新妻 聖子さん
新妻 聖子さん

新妻 聖子(にいづま せいこ)

ミュージカル女優

 

1980年愛知県生まれ。父親の仕事の都合で、11歳から約7年間タイで過ごす。バンコクのインターナショナルスクールを卒業後帰国し、上智大学法学部国際関係法学科を卒業。2002年、大学在学中に「王様のブランチ」(TBS)で芸能界デビュー。2003年、5000倍のオーディションを突破しミュージカル「レ・ミゼラブル」エポニーヌ役に抜擢、以降数々の舞台でヒロインを務めミュージカル界屈指の歌姫として第一線で活躍中。2013年は4月ミュージカル「トゥモロー・モーニング」、6月ミュージカル「シルバースプーンに映る月」、8月ひとり芝居「青空・・・!」ほか話題作の出演が多数控えている。第31回菊田一夫演劇賞、平成18年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。
オフィシャルサイト http://www.seikoniizuma.com/

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