ビジネスプランコンテスト優勝の東大生が教えるプレゼンのコツ

今すぐ役立つ! プレゼン講座 <その1>コンセプトと原稿作成

授業や生徒会、さらに文化祭やコンテストなど、人前でプレゼンをする機会はいろいろあると思います。でも、実はプレゼンは苦手だという人も多いのではないでしょうか。「原稿がないとしゃべれない」「話したいことが多すぎて、時間内で終われない」「緊張して話がすべったらどうしよう…」等など、不安のタネはいろいろあると思います。

 

今回は、みらいぶ特派員で、大学生のビジネスコンテストで優勝した登阪亮哉くんに、誰でも身に付けられるプレゼンのコツを紹介してもらいました。これからプレゼンの予定がある人は、ぜひぜひ参考にしてみてください。

 

こんにちは。みらいぶで「FLY Program」の連載をした登阪亮哉です。

 

僕は今年の初めに「キャリア・インカレ2016」というビジネスプランコンテストで優勝しました。ビジネスコンテストとは、参加チームが考案したビジネスプランを審査員の前でプレゼンし、そのプランの内容やプレゼンのわかりやすさを競うものです。

 

僕が参加したキャリア・インカレ2016は、協賛企業から出された「New Way, New Life」というテーマに対する新たなビジネスプランを考えるというものです。書類選考と動画選考を経て、各企業に直接プレゼンして企業ごとの代表を決める準決勝があり、最後の決勝は東京・六本木のニコファーレという大きな会場で行われました。決勝では、各企業の代表4チームがプレゼンし、審査員による評価点とニコニコ生放送視聴者票の合計得点が最も高いチームが優勝となります。僕たちのチームは総合点で優勝しただけでなく、トップバッターでありながら視聴者票でも得票率40%を超えて1位になりました。

 

 

今回は「プレゼン講座」と題して、みなさんに説得的なプレゼンのコツをお伝えしたいと思います。また、プレゼン作成の具体例として、僕が先日Teach For JapanというNPOで教育関係者の方々に向けて講演した時の準備や本番のプレゼンについてお話しします。これから文化祭やコンクールなどでいろいろなプレゼンをする人も多いと思いますので、参考になればと思います。

 

僕は、いつも以下のような流れでプレゼンを作ります。

 

Step 1. プレゼンのコンセプトを決める

Step 2. プレゼン原稿を作成する

Step 3. スライドを作成する

Step 4. 実際にスライドを用いながら原稿を読んでみて、修正点を洗い出す

 (ブラッシュアップ)

Step 5. 練習を繰り返す

Step 6. 本番

 

ここからは、この6つのステップに沿って説明していきます。基本的に、重要なものから手を付けていくというイメージです。

 

それでは早速、プレゼンのコンセプト決めについて。「構想」と言ってもいいかもしれません。

 

この段階で決めるべきことは、以下の3点です。

 

 

1:プレゼンで提示するもの

 

これは、プレゼンの機会によってビジネスプランだったり研究内容だったりと千差万別だと思います。そして実は、この良し悪しがプレゼンの成否の多くを決めてしまいます。他にない素晴らしいものや、本当に価値のある知見についてプレゼンするのであれば、小手先のテクニックなどなくても感動を与えられます。

 

2:プレゼンの流れ

 

これは、プレゼンの中で特に印象に残る内容を左右します。一般的に人は最初と最後に与えられた情報を強く記憶するので、そういったタイミングで重要な内容(プレゼンで提示したいものや、自分たちの信念など)を示すのが効果的です。

また、説得的なプレゼンをしたいのであれば、「課題の提示→自分たちのアイデア→課題解決プロセス」という大きな流れを用いるとうまくいきやすいです。他にもプレゼンの内容に応じて適切な流れがあるので、同分野で参考になりそうなプレゼンの流れを真似してみましょう。

 

3:アピールポイント

 

特に他の人のプレゼンと比較されるような場面では、何をアピールポイントとするかがとても重要です。1の段階で良いものができていれば比較的簡単に示せるようになります。アピールポイントを示すために必要なのは、「評価軸の提示」と、「その軸における自分たちの優位性や独自性」です。

評価軸とは、僕たちがビジネスコンテストでプレゼンした時を例にするならば、「機械が人間の役割を代替しつつある今の社会に求められているのは、人間にしか発揮できない能力を伸ばせるような全く新しい教育だ」といったものです。説得力のある評価軸を根拠をもって示せれば、自分の土俵で良し悪しを判断してもらうことができるようになります。あとは、その基準に基づく自分たちのアイデアの素晴らしさを説明すれば、非常に説得的なプレゼンになります。

 

これらの重要性のバランスはプレゼンの機会ごとに異なります。僕がTeach For Japanでプレゼンした時は、コンペではなかったのでアピールポイントの比重が小さく、プレゼン内容自体の重要性がとても高かったです。発表した内容は、僕が海外各国で最先端の幼児教育を取材した際の知見でした。はじめは、得た知見をまとめて伝えればよいと考えていました。しかし、プレゼンの時間を90分も頂いたので、ただ聞いてもらうだけでは退屈させてしまいます。そこで僕は、シンガポールで実際に僕が体験させてもらった教育評価のためのワークショップをそのままプレゼン中に実施しようと考え、先に配布物などを製作し、それからプレゼンを作りました。結果として、このワークショップの評価はとても高く、プレゼンが成功する最大の要因になりました。

 

Teach For Japanのプレゼンで使ったワークショップのスライド
Teach For Japanのプレゼンで使ったワークショップのスライド

さて、コンセプト決定までにいろいろなことを考えましたが、実はここからはそんなに難しくない、というのが僕の実感です。

 

原稿作成の際には、先ほど決めた流れに沿って肉付けしていくだけでよいのです。

 

この際のコツとしては、

 

1:文字量を多くしすぎない

 

一般的に、日本語の原稿だと一分間に約400文字分を読み上げられると言われています。プレゼンは視覚情報もあるので、これより減らして、だいたい350~380文字/分のつもりで原稿を用意するのが好ましいです。そのために、無駄な情報や言い回しを削るとよいでしょう。

 

2:データ・根拠を示す

 

「AはBです。」と断言しつつ、その根拠がないと、聞いている人はなんとなく違和感や不信感を抱いてしまいます。「C(肩書きや機関や書名)によると、AはBです」と言えるようにしましょう。時間に余裕があれば、その機関が行った調査の名前や対象、あるいは専門家がその結論に至ったプロセスなども紹介できると説得力が増します。時間がない場合は読み上げずにスライド上で示しておくのも効果的です。

 

3:最初と最後だけ言い回しにこだわって、あとは考えすぎない

 

自分で読んでいる間は細かい語尾や接続詞が気になるかもしれませんが、聞いている人は意外と気にしていません。注意深く聞かれている最初と最後以外はこだわりすぎず短時間で仕上げて、ブラッシュアップや練習に時間を割けるようにしましょう。

 

 

僕が講演した時も、自分が観察の中で発見した知見を同内容の論文で裏付けたり、プレゼンの最後でインパクトの強い一文を述べたりと、以上の点を意識しながら話す内容を考えました。

また、3にあるように細かい言い回しを僕は重視していないので、原稿作成は箇条書きにとどめ、練習時間を長く取ることでスピーチを洗練させていきました。

 

次回は、スライド作成やブラッシュアップについて述べたいと思います。

 

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