世界へ”FLY”する東大生

~入学して即休学 世界の幼児教育を取材する旅へ

登阪亮哉くん(東京大学)

東京大学の入学式にて友人と。一番右が登阪くん
東京大学の入学式にて友人と。一番右が登阪くん

大学での学びには、普通に通学して授業を受けるだけでなく、留学や、他の大学の研究室や研究所で学ぶ「外研」など、ホームグラウンドを離れたところで学ぶものがあります。さらに最近は、大学を休学してNPOや企業を立ち上げたり、フィールドワークを行ったりする人もいます。


東京大学に今年2015年春入学した登阪亮哉くんは、東京大学初年次長期活動プログラム(FLY  Program)で1年次を休学して、幼児教育の研究のために海外調査を行います。国内での事前調査から、海外調査の様子、旅の中での出会い、休学中の経験を通して学んだことを、登阪くんが1年にわたってリアルタイムで伝えます。

 

第1回 「飛び込め、躊躇なく」 世界一周を実現するチャンス
FLY Program参加を決意したわけ

僕がFLY Programに参加しようと最初に思ったのは、高3の夏頃でした。僕は灘高校という東大志向の強い進学校に通っていたため、高1のころからなんとなく東京大学を目指していました。しかし、当然それではモチベーションが湧かず、受験勉強が苦痛になってきました。

 

そんなときに、もう一度自分の目指す大学について調べようと大学のウェブサイトを見たところ、東大ではFLY Programという特別休学制度があることを知りました。入学直後に休学、それも資金援助(50万円まで)や大学の先生のメンターまで付くという、まさに「特別」な休学で、はじめは魅力的というよりも奇抜に思えました。興味を持って調べていくと、過去に参加した人のブログが見つかりました。カナダで語学学校に通ったり、バックパックでヨーロッパを旅したりされた方のブログだったかと思います。それを読んで、FLY Programの意義(だと当時僕が感じたもの)がなんとなくわかりました。それは、大学で勉強する4年間を最大限活かせるようにするための準備ができるということです。この解釈は、僕自身がFLY Programに参加する中で変わっていきますが、それは今後の連載の中で説明したいと思います。


ワーキングホリデー? NPOでのインターン?

さて、それまでの人生において休学という選択肢は全く頭になかったのですが、いざ目の前にその機会があると、それで何ができるだろうかといろいろ考えるようになりました。僕が最初に目を付けたのは、ワーキングホリデーでした。ワーキングホリデーとは、海外でアルバイトなどの仕事をしてお金を稼ぎながら滞在することで、比較的安価に海外での長期滞在ができる仕組みのことです。語学力を伸ばせるという意味でも、海外経験を積めるという意味でも、最初の一年間には最適だと思いました。もう一つの案は、国内NPOでの長期インターンです。特に、高2まで部活でお世話になった先生が退職されて作った、東北で学習支援をしているNPOに非常に興味があり、そちらで一年間お手伝いをしながらアルバイトでお金を貯めたり本を読んだりするということも考えてはいました。

 

しかし、留学や長期休暇などの代替手段がある中で、卒業を一年間送らせてまで先述のような計画を実施する気にはなれませんでした。当時の僕は、東大を卒業した後にどう働くかを重視していたためです。そのため、僕は一度FLY Programの参加を見送りました。

 

「30歳までに世界一周する」という夢

僕が再びFLY Programに参加しようと思うようになったのは、2015年の1月ごろです。きっかけは、テレビをつけた時にたまたま放送されていた、多国籍のグループによるシルクロード横断の旅のドキュメンタリーを見たことでした。生々しい異国情緒や、長時間の移動の様子を見る中で、僕は自分が12歳だったころの夢を思い出しました。それは、「30歳までに世界一周する」というものです。テレビを見ながら居ても立っても居られなくなった僕は、なんとかして世界一周できないものかと様々なブログや記事を漁りました。そうしている間も、世界一周の魅力は僕の中でどんどん大きなものとなっていきます。そして、世界一周の主なハードルは「時間」と「お金」であることがわかりました。これはどちらも、FLY Programである程度解決できます。もちろん在学期間は一年延長しますが、それによって社会に出るより前に夢を叶えられるのです。「飛び込め、躊躇なく」を座右の銘としている僕は、この機会を活用すること、すなわちFLY Programに参加することを決意しました。


次回は、僕が受験勉強の中でどのようにFLY Programの計画を練っていったかについて書きたいと思います。

つづく…

第2回 誰もやったことのないような世界一周をやってやろう

 

※東京大学初年次長期自主活動プログラム(FLY Program)
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/academics/zenki/fly/

◆休学とは
学業を休むこと。特に学生・生徒が病気などのために在籍のまま一定期間、学校を休むこと。(広辞苑より)

大学の休学には、学長(または学部長)に申請書類を提出し、許可を得ることが必要です。休学中は大学に籍がありますが、在籍期間としてはカウントされないので、休学した年月分だけ卒業年次が延びることになります。休学中の学費は、国公立大学では基本的に無料、私立大学でも、その期間の授業料は多くは半額~全額減額になります(大学により異なります)。休学期間は最長4年までとされており、それを超過すると除籍となります。


※各大学の休学の扱いや手続きについては、各大学の学生課に問い合わせてください。

[参考サイト]
NPO法人ETIC.HPより「戦略的休学のススメ」
http://www.etic.jp/kyugaku/university.html

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