From the Hub of Asia ~シンガポールから考えた高校・大学の学び

村田幸優くん シンガポール国立大学(National University of Singapore:NUS)

(2017年9月掲載)

高校卒業後の進路を考える時、国際社会で活躍するために海外の大学に進学したい、あるいは短期間でも留学したい、と考える人は多いでしょう。少しでも若い時から、いろいろな国の人に文字通り揉まれる経験はとても貴重ですが、一方で専門分野をより深く学ぶのであれば、日本の方が有利ではないかという考え方もあり、悩むところでもあるでしょう。

  

今回みらいぶで連載するのは、今年(2017年)8月から、東京大学教養学部3年生から交換留学でシンガポール国立大学(National University of Singapore:NUS)に留学している村田幸優(ゆきひろ)くんです。

 

村田くんは、高校2年生の時、模擬国連大会の日本代表として国際大会に出場。この時のインタビューは、みらいぶにも掲載されています(→こちらから)

 

東大で充実した学生生活を送っていた村田くんが、アジアの金融、貿易、交通、物流などの中枢として成長著しいシンガポールに飛び出して、世界中から集まる学生たちとともに学ぶ中で、感じたこと、周りの学生たちと語り合ったことをレポートします。大学で留学を考える時のヒントにしてみてください。

 

第1回 入学時、留学しない!と豪語していた自分が、急遽留学を決めるまで

シンガポール国立大(NUS)のキャンパス
シンガポール国立大(NUS)のキャンパス

この8月よりシンガポール国立大(NUS)にて1年間の留学を始めました、村田幸優です。

 

人材の育成には特に力を入れるこのシンガポールという国。The Times Higher Education World University Rankings 2016-2017によれば、その中でもNUSはアジアトップの大学とも呼ばれ、競争が激しいだけでなく、国籍の多様さが群を抜いていると発表されています。でも、東大より国際ランキングが高いとは言うけれど、実際どんなところなのでしょうか。現地で実際に学んでみなければ わからないことを発信していくことで、高校生の皆さんが、高校や大学での学びを、少し違った視点から見る機会になればと思います。

 

実は僕は入学当初から、「留学には行かない!行きたくなったら行くけど、まずは日本の大学生としてしかできないことをする!」と周りに言っていました。

 

だから 留学を決めたのも、2年生の夏休みが終わる直前と(奨学金の締め切りの1週間前です!)、 同期の中では一番遅い方でした。そこで今回は、自分が留学を決めた経緯について書きたいと思います。

 

「日本人は大学に入るまでは海外の高校生と比べても優秀。でも大学の4年間で圧倒的に力の差が開く」は本当か確かめてみたくて

 

高校時代の僕は、模擬国連や英語ディベートといった活動を通じて周囲に海外に飛ぶ仲間が多く、そして実際にハーバード大学のWidener Libraryに訪れた経験(※)から、彼らが課題の多い授業の中でタフに勉強していることを知っていました。だからこそ大学入学当初も、彼らに負けず学びたい、日本の大学でしかできないことは何だろうか、と考える意識が強くありました。

 

(※)実は、高2の冬の入試休みを利用して、キャンパス見学に行く友達についてボストンの大学を回っていました。学部から入学した日本人だけでなく、交換留学制度を使わず自力で1年留学をしていた東大の学生や、日本の大学卒業後に研究をしに来た大学院生 、ハーバード大学のプログラムに参加しに一時的にキャンパスに来ている大学生、就職したのちに会社のお金でビジネスの勉強をしに来ている人など、そこで勉強する様々な日本人に話を聞けたことは、とてもワクワクする経験でした。

 

 

入学当時僕が注目していたのは食や農業分野で、これから社会が徐々に成熟を迎える日本では、日本の地域が持つ豊かさが、実は人の幸せにつながる大きな価値を持つようになってくるのではないのか、と漠然と感じていました。 そこで僕は以下の3つの活動に力を入れました。

 

まずはゼミです。日本語を用いて複雑な本を読むこと、深く考えること、議論すること。知らないことが多い今の自分にとって、社会の現状や自分の立ち位置を学ぶことがまずは必要なのではないかと。日本語なら、密に、速く、深く、インプットも理解もできます。

 

次に、日本の地域を実際に見て回ること。農業という、その土地の環境や気候、歴史ごとに異なる特徴を持つものを考えるにあたって、机の勉強と想像だけで「日本の地域」と括って、ものを語りたくないなという意識はありました。現場を感じること、人の話を聞くこと、 共に課題や未来を考えることを通して初めて、これから自分はどうしていきたいのかを考えられるのではと思っていました。

 

最後は、自炊です(笑)。たまたま下宿が学校に近かったので、よく友達を呼んで一緒にご飯を作ったり食べたりしていました。そういう場では、 ただしゃべるだけでも盛り上がりやすく、さらには普段なかなかできないような、悩みも夢も、夜遅くまで語り合うことができます。分野は違えど同志として進んでいけるような、一生の友達を作ること、それを可能にする場としての“家”と美味しいご飯も、日本でしかできないなと思っていました。

 

こうして一日一日の密度を落とさずとも、日本だからこそできることはたくさんあるじゃないか。それらを続けていきながら、自分の周りにあるものや居てくれる人を大事にしていたら、あえて留学する必要なんてないじゃないか。そう思いながら日本での々を過ごしていました。

 

2年の夏、「一刻も早く海外の環境に身を置きたい!」と

 

でもこれら全部の活動が、実は、留学に行きたいと思うことにつながりました。

 

「グローバル化の厳しい現実って、要するにほとんどの日本の課題が海外と繋がってる(逆も然り)ってことやん! よっぽどのことがない限り自分が海外の人と協働しない未来ってあり得へんやん!」

 

「結局生き残りのカギを握ってるのって豊かな自然というよりは“人”やん! グローバルな視野、高い視座持って、人をたくさん巻き込んで、地元で活動している人と協力できてる、そんなグローカル参謀的な、人!」

 

「今語り合ってる友達と同じ土俵で働きたい! 帰ってくる場所があるから安心して飛べる!」

 

ざっくり言うとこんな感じでしょうか 。

 

結果、一刻も早く海外の環境に身を置きたいと、2年の夏の終わりに思うようになり、留学に求めたものは海外の人と協働できる自分の確立でした。前向きな言葉が多く並んでいますが、その時の実際の心境は、日本から出ずにそのまま卒業することに、恐怖さえ覚えていました。

 

 

次回はより具体的に、何を求めてシンガポールを選んだのかを書きたいと思います。 

キーワードはDiversity・Competitiveness・ the Hub of Asiaです。

 

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