前田智大くんのMIT便り ~世界のトップ大学ってどんなとこ?


MIT:マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)は、1865年創立の、アメリカ合衆国マサチューセッツ州にある私立の工科大学です。英国の大学評価機関のQuacquarelli Symondsの世界大学ランキング最新版(2015/16年)では、4年連続、世界のトップ。ノーベル賞受賞者を多数輩出し、理系の研究・教育とも世界の最先端を行き、アメリカだけでなく世界各国から優秀な学生が集まっています。

日本の大学と比較して、アメリカの大学は入学してからの勉強が厳しくて、宿題の量がハンパなく多いとか、図書館に住んでいる人がいるといった都市伝説もありますが、本当はどうなのでしょうか。日本の高校からMITに進学した前田智大くんが、大学の勉強や生活について、レポートします。

 

第1回 授業と研究とダンスと宿題に追われ、走る続けるハードな日々

前田智大くん (Electric Engineering & Computer Science 2年)

前田智大くん
前田智大くん

初めまして。MITの2年生でElectrical Science & Engineering(電子工学)を学んでいる前田智大です。

僕は高校の時に生物に興味があり、運良く国際生物学オリンピックの日本代表として参加することができました。そこで世界という舞台でいろいろな人と話し、刺激を受けて、初めて世界で学問を学びたいと思いました。帰国子女ではなかったので英語など、いろいろと不安もありましたが、ハーバードに行った高校の先輩からの後押しもあり海外のトップ大学に出願することを決めました。高校3年生の9月に学校を見学に行き、自分の興味を一途に追っている人が多いと感じたMITに行きたいと思い、進学することを決めました。

大学に入ってからは案外英語に苦しめられることもなく順調にアメリカに適応しつつも、MITで何か一つでも印象に残ることができないか、日々悩みながら過ごしています。今は生物学に関連した、ハードウェアサイドの研究をしたいので、電子工学を学んでいます。具体的には医療機器や、新しい実験機器、手法の開発をしたいと思っています。特に新しい計測手法の確立はサイエンスの分野でのブレイクスルーにつながると思うので、今は電子工学に興味があります。まだ具体的に何をするのかは決まっていませんが、大学卒業後はPhD課程(博士課程)にすすみ、研究をし続けていけたらいいと思っています。

 


留学生は科学系オリンピック経験者も多い


MITの標語は「Mens et manus」で、意味はmind and hand、すなわち教育を実践に応用しようということで、その意味の通り、卒業生のビジネスを全て合わせて国にすると経済規模が世界に11番目になるぐらい世界にインパクトを与えています。80人のノーベル賞受賞者も出しており、新しい科学技術の発展に大きく貢献している大学です。合格率はアメリカ国内で7.9%、留学生の合格率は3.3%です。僕が会った限りでは半分近くの留学生は科学系のオリンピックで国の代表を経験しているなど、優秀な学生が集まっています。

場所はマサチューセッツ州、ケンブリッジにあり、歩いて20分の距離にハーバード大学もあり、アカデミックな雰囲気が強い場所です。ハーバードとは単位の互換性がありますが、キャンパスの中で生活が成り立っているのでハーバードまでわざわざ行って授業を受ける人はあまり多くありません。

 
週末はパーティー。work hard, play hardな生活

MIT学部生としての生活はなかなかハードで、日本の大学とは違い、毎週宿題が出ます。クラスによって差がありますが、僕の場合は授業が合計週16時間半、宿題が18時間ぐらいです。他にも研究を週10−15時間、ダンスを10時間ほどしているので、平日はほとんど授業と研究とダンスと宿題で終わり、週末にパーティーでリラックスする、work hard, play hardな生活を送っています。


ダンスはブレイクダンスをしていて、まだまだ未熟ですが、卒業するまでにボストンの大学生のバトルでいいところまで行くことを目標にしています。フリースタイルで、音楽をかければすぐに踊れるので、勉強からのいい休憩になります。


だいたい2日おきに何かしら(宿題やプロジェクト)の締め切りがあるので、マラソンのように走り続けてないとついていけません。今学期の授業数は4つです。日本の大学と違い一つ一つの授業が重く、1授業あたり週12時間ほどの勉強量が目安です。あくまで目安なので、週8時間ほどでいい授業もあれば週30時間ぐらい費やさないといけない授業もあるらしいです。

 

日本の大学と違い、寮やハウスがキャンパス内や近くにあるので、生活が大学で成り立っています。ですから、せっかくボストンにいるのにあまり観光したことがないです。

 

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