高校生：「レ・ミゼラブル」にはコゼットとエポニーヌが出てきますが、ご自身の恋愛のタイプはどちらが近いと思いますか？コゼットのように一目ぼれをして熱烈な恋に落ちるタイプか、それともエポニーヌのように一途に思い続けるけど、本人の前では素直になれないタイプか。

新妻：どちらでもないですねぇ（笑）。でもまぁ間違いなくエポニーヌではない（笑）。エポニーヌは何ていうか、究極の片思いじゃないですか。見返りを求めない。あなたが振りむいてくれなくても、迷わずあなたのために命を差し出しますっていう人ですよね。私は少なくとも一方的には差し出さないかなぁ。コゼットは、あの人とてもたくましいんですよ。なんだかんだ言って、唯一生き残る人ですからね。すごく強い精神の持ち主だと思います。だから、どっちに心を寄り添わせられるかと二者択一で問われたら、コゼットかなぁ。ちなみに性別は違うけど、一番近いのはアンジョルラスかも。革命で立ちあがるタイプね（笑）。いや、むしろアンジョルラスを説得して「ここで無駄死には得策じゃない。もう少し世の中の流れを見極めてからにしよう。死んだらおしまいだ。」って持ちかけるかな。私は慎重派なので。できれば痛いのは避けたい、撃たれたくない(笑)。

---「女子力」って聞かれたらどのようなものをお考えになりますか？新妻さんは本当に女子力のある、キラキラした方ですよね。

新妻：本当？大丈夫？このキラキラは自家発電なんだけど…（笑）。男の子にはできない“オシャレ”という特権があるから、女子は可愛くないとね。髪をキレイに編み込んだりとか、少しお化粧をしたりとか、可愛いお洋服を着たりとか、自分をキレイに保つ手間を惜しまず追求したいなとは思います。

他にはなんだろうな。女の子って、本能的に人の面倒をみたいというDNAがある気がするんですよ。母性愛みたいなもの？そういうのは失いたくないし、内面からの品みたいなものは保ちたいなって思いますね。それから、私の行動ポリシーの基礎になっているのは、親を泣かせない、っていうこと。これをもし親が見たら泣くなとか、傷つくだろうなって思うことを避ければ、女子力平均点はキープできる気がします。でもアーティストとしては、その辺のボーダーを超えちゃいなよ、それを超えられないと表現者としてつまらないんじゃないかなって自分で思うこともあるんですよ。でも、生まれついた、育った環境とかもあるかもしれませんが、私は飛び越えられない性格に生まれてしまったので、平均点をキープする方ですね。まぁねぇ、アーティストって、結構はじけた人が多いじゃないですか。そういう人は、うらやましいなって思います。

---最近、社会の傾向として、キャリア志向の女性と大学卒業後すぐに結婚して主婦になるという女性の2つに分かれるかなって思うんですが、新妻さんご自身は、女性の幸せや女性が進むべき道ってどのようなものだと考えていらっしゃいますか？

新妻：私が聞きたい（笑）！割と行き当たりばったりの人生なので、気がついたら今32歳でしょ？でも周りで仕事して結婚してない人も結構多くて。確かに、周りで第一次結婚ブームが23～4歳で来て、第二次が27～8歳。で、その二つのウェーブに乗り遅れたのが、私を含め本当ごくわずかに残っていて。完全にタイミングを逃した系ですね。

でも、このまま仕事をずっと続けられる選択肢もあれば、結婚してもずっと続けていくっていう選択肢も、結婚も出産もして一時休憩をするって選択肢もあって、どこへ行くかはちょっとわからないですよね。女性には出産があるからね。結婚だけだと男女平等な話なんだけど、出産となると女性にかかる負荷は相当なもので、旦那さんに「ちょっと忙しいから代わって」という訳にはいかないし。だから私の理想としては、もし出産するんだったら夫婦2人で育児休暇が取れたらいいなって。でも、経済的に余裕がないと、2人とも休暇を取ったら収入がゼロになってしまうから難しいけど。

私の姉が最近出産したんですが、育児って本当に大変で、姉も母に手伝ってもらいながら何とかやっているような状態で、ほんと、誰かと協力し合ってやらないと大変だなあ、と。結婚もしてないのに出産の心配をしている私って一体…(笑)。

---新妻さんは、もし出産をされても女優をずっと続けていかれますか？

新妻：そうですね。歌は一生歌っていると思います。歌手の仕事は、年齢と経験を重ねれば重ねるほど深みが増していく分野だと考えているので、定年はないなと思っていて。女性に生まれたからには、出産という大事業に挑戦はしたいですよね。頑張ります！（笑）

---新妻さんの美しさや溌剌とした元気の秘訣ってなんですか？

新妻：私、本当によく食べるんですよ。朝からすごいし、食べるために生きているので（笑）。我が家では食べることがエンターテインメントだと思いますね。母が専業主婦でずっと家にいてくれたので、自分でお財布を持つまで市販のお菓子を買ったことがなくて、アイスクリームもクッキーもケーキもパンも、全部母が手作りしてくれていたので、食に対しての愛が半端ないんですよ。食べる行為も食べものも愛しているので、食べ物を粗末にすることに嫌悪感を覚えるし、できればどんな食べ物も捨てたくないって気合を入れて食べてます。

食べ物を愛すると愛が返ってくるんです。私の周りには、なぜか美味しいものが集まってくるんですよ。私、よく人に「食神が付いてる」って言われるし（笑）。美味しいものが寄ってくるというか、美味しくいただける機会にめぐまれるんですよ。一番好きなのは揚げ物や、ドーナツ、みたらし団子とか、嫌いなものがないので。さすがにトカゲとか言われたらきついですけど、ゲテモノ以外なら何でも好きですね。

---スタイルが抜群ですが、どのように体型を維持されているのですか？

新妻：全てのものを、美味しいなと感謝してよく噛んで味わっていただくと太らないと思います。私はもともと太らない体質なので、あんまり参考にならないかな。でも、お水をたくさん飲むし、しょっぱい味付けがあまり好きではないのね。だからちょっとしょっぱいなと思ったら、お水をがぶがぶ飲みながらいただくし、あとは食べ方。最初にサラダとか緑のものを、例えばお弁当だとしても、緑のお野菜から先に食べて、その後にお肉系を食べて、最後に炭水化物。これはもうずっと続けてる習慣で、最近流行しているらしいけど、これって太りにくくなる食べ方だと思う。スープ系とかで基礎体温をちょっと上げてから食事を取ると、カロリー消化率が高くなるって話を聞いたことがあるんですけど。野菜から食べるといいですよ。炭水化物を最後にね。

---ファッションや見せ方のコツはありますか？

新妻：コンプレックスを上げたらきりがないんだけど、自分の良いところを探してみようって思ってます。良いところを伸ばす。ファッションも良いところを強調する。私は鎖骨が自慢なので、寒くない時は鎖骨を強調するようなお洋服で、出して見せるようにしています。つやつやの黒髪も自慢なので、染めないようにしているし。日焼け止めも欠かさず塗ってるかな。基本的に、日本人らしい髪色、肌色を強調する方向で考えています。あとは、小柄な身長を活かして、かわいらしい雰囲気のファッションを選ぶことが多いかな。

女の子はとにかく、素材を活かす!ってことが大事だと思います。自分が気持ちよくいられるスタイルをするとか。あとは清潔感じゃないですかね、女子は。清潔感は大事。毎日お風呂に入っていれば香水をつける必要はないし。キレイっていうか、身だしなみに清潔感があると、女の子は可愛い。10代、20代なんて、何していても可愛い！もう本当に、そのままが花ですよ！

---自分に自信を持つにはどうすればいいでしょうか？

新妻：そうねえ。自信を持っている人なんて、そんなにいないと思う。私自身も、一枚剥がせば不安があるからこそ、頑張っている。すごく褒めてほしいから頑張るし、褒めてもらえなかったらがっかりする。やっぱり、自分を鼓舞してくれる褒め言葉とか、ねぎらいの言葉ってあるよね。それが自然に降りかかってきたらラッキーだけど、それがない時は、褒めてくれそうな人に「褒めて」って言うとか。親とかに「ねえ、すごいよね、私」って（笑）。言われなかったら、自分で言う。「私、すごいと思う」「私、頑張ったと思う」って（笑）。

私、実はとってもネガティブなんですよ。日々いろいろあるし。すごく落ち込んだら、とりあえず食べますね。人はお腹が空いてると、ろくな事を考えないと思うの。食べると、ちょっと体も温まるし、満腹感が満足感に繋がって、ブラックなものがグレーくらいになる。

で、あとは寝る。一晩寝ると、結構「あれ、なんだったけ？」ってなっていることがある。なんでしょう、自信を持つ秘訣。まあ、自信なんてたやすく手に入らないという観点から言うと、努力を怠らず、お腹が空いたら好きなものをいっぱい食べるってことかしら（笑）。食べるって命をいただくことだから、パワーが入ってくるんですよ。

新妻 聖子（にいづま せいこ）

ミュージカル女優

1980年愛知県生まれ。父親の仕事の都合で、11歳から約7年間タイで過ごす。バンコクのインターナショナルスクールを卒業後帰国し、上智大学法学部国際関係法学科を卒業。2002年、大学在学中に「王様のブランチ」（TBS）で芸能界デビュー。2003年、5000倍のオーディションを突破しミュージカル「レ・ミゼラブル」エポニーヌ役に抜擢、以降数々の舞台でヒロインを務めミュージカル界屈指の歌姫として第一線で活躍中。2013年は4月ミュージカル「トゥモロー・モーニング」、6月ミュージカル「シルバースプーンに映る月」、8月ひとり芝居「青空･･･！」ほか話題作の出演が多数控えている。第31回菊田一夫演劇賞、平成18年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。
オフィシャルサイト　http://www.seikoniizuma.com/