世界へ”FLY”する東大生

~入学して即休学 世界の幼児教育を取材する旅へ

登阪亮哉くん(東京大学)

第44回 ビジネスコンテストで優勝と視聴者投票のダブル受賞を勝ち取った!! その2

~学んだことをフルに盛り込んで、壮大なプランを練り上げた

決勝でプレゼンする登阪くん
決勝でプレゼンする登阪くん

ぎりぎりまで見直しを重ね、磨き上げたプランで決勝へ

そして迎えた準決勝。動画審査からの印象を変えるため、スライドの色やフォントまで刷新して臨みました。

 

準決勝では、8チームの候補の中から企業の代表に選ばれなければならず、不安も大きかったです。他のチームもとても準備してきていて、プランの内容も納得させられるものが多く、全チームのプレゼンが終わった時には勝てた実感がありませんでした。特に最後に発表したチームは、プランの実現性も生活へのインパクトも大きく、何よりプレゼンが僕らとは段違いに上手かったので、そのチームが選ばれる可能性が高いなと考えていました。

 

自分たちが勝てるとしたら、それは教育を変えることで社会そのものが変わるというプランの壮大さのみです。そして結果的に、その点が大きく評価されて、僕たちはDNPの代表チームとして決勝戦に出場することになりました。

 

こう書くと運良く選ばれたように感じられるかもしれません。しかし今振り返ると、僕たちが動画審査の段階で、ビジネス的には文句の付けようがないほど高クオリティのものを用意できていたからこそ、「夢を見せてほしい」というDNPの本音を引き出すことができたのだと自負しています。

 

決勝戦では準決勝までとは審査員が変わるため、僕たちはまたゼロからプランを練り直し、そもそもこの大会で優勝すべきはどんなチームなのか、そして自分たちの強みはどのような構成で一番発揮されるのか、とことん考えました。また、DNPの方からも改めてアドバイスを頂き、自分たちの強みと弱みを客観的に理解しました。その結果、ビジネスとして成立する説明を中心に据えつつも、その意義について最初と最後で印象的に説明するという方針が決定しました。


その後はスライドを作り、徹底的に修正しつつ、プレゼンの練習も行いました。スライドのデータを大会側に提出した後も、原稿の修正を当日の朝まで行いました。そして、その段階でフリップを使うことを思い付き、会場到着後にフリップを準備するなど、ぎりぎりまで改善を行いました。

 

決勝プレゼンはまさかの一番手! それでも視聴者の指示を集めてニコニコ賞獲得

そして迎えた本番。僕たちは4チームの最初にプレゼンすることになってしまいました。プレゼンの順番自体は不利にならないよう配慮されていましたが、それでも緊張はぬぐえません。

 

立っているのもやっとだったとき、支えてくださったのは、これまでずっとアドバイスをくれたDNPの方々でした。わざわざ入場口に一番近いところに座り、緊張する僕たちに笑顔で手を振って励ましてくださったのです。さらに、ニコファーレではニコニコ生放送を視聴する人々のコメントがリアルタイムで会場に流れます。そのため、僕たちを応援する友人たちのメッセージが多く目に入りました。おかげで緊張が解け、この大きな舞台を楽しもうという気持ちになれました。

 

プレゼン中は細かいミスやトラブルもありましたが、3人のうち誰かが落ち着いてそれに対処したことで、最終的にとても満足のいく出来になりました。

 

プレゼン後の質疑応答では厳しい質問も飛んできましたが、3人ともこのプランについてとことん考えてその場に立っていたので、それぞれが互いの応答を補足しながら、伝えたいことを伝えきることができました。

 

舞台を降りるとどっと疲れが出て、3人とも座り込んでぼーっとしていました。そして、いよいよ受賞チームの発表です。

 

まずは、視聴者からの投票によるニコニコ賞の発表です。これは全チームの発表後に投票があるので、トップバッターだった僕たちはまず無理だろうと考えていました。というのも、僕たちがプレゼンしていた時の視聴者数は10000人ほどでしたが、投票時には16000人以上にまで増えており、投票者の多くが僕たちのプレゼンを見ていなかったのです。

 

しかしなんと、ニコニコ賞受賞チームとして呼ばれたのは、僕らのチームでした。教育への想いが評価されたのではと、とても嬉しく感じました。

 

その直後、優勝チームの発表がありました。発表までのほんのわずかな時間がとても長かったです。支えてくれた多くの人たちのことや、世界一周中に学んだこと、そして何より、友人たちと何度も徹夜してとことん準備したことが、胸を去来しました。

 

誰かと競うのではなく、自分の道を歩んだことでつかんだもの

優勝が決まった瞬間
優勝が決まった瞬間

僕たちは優勝しました。

日本一。

高校時代、部活で何度も挑んでは達成できず、涙をのみました。

 

自分の弱さを悟り、大学に入ってからは誰かと競うのではなく、自分独自の道を歩もうとしました。そしてたどり着いたFLY Programの1年間は、誰とも競うことがないからこそ、プライドも何も気にせずにあらゆるチャレンジを行い、無数の失敗と確かな成功を得ることができたと思います。この失敗と成功が僕を強くしてくれた結果、今こうして、約720名・100チーム以上の頂点に立つことができました。

 

ですから、優勝チームとして名前が呼ばれた瞬間、僕の中に生まれた感動はあまりにも強く、それを表現できるような言葉が見つからず、ただただ雄叫びをあげました。

 

 

今回の大会参加を経て学んだことは2点あります。

 

1つは、チームワークの大切さです。

 

僕たちはもともと仲が良く、互いのアイデアに対して直接的に批判しても険悪になりませんでした。また、互いの忙しさも把握しており、誰かが大変な時は、時間のある誰かが何も言わずに助けました。このように、3人が密に連携をとって、同じ目標へ邁進すれば、その力は単純な足し算以上のものになることがわかりました。

 

もう1つは、「学びの使い方」です。

 

今回のプランでは、僕たちが学んできたことがフルに盛り込まれていました。それは教育のことに限りません。たまたまチームメンバーが「そもそも幸福とは何なのか」を分析した学問について知っていたので、その内容をプレゼンに盛り込むことができました。一見教育とは何の関係もない昆虫の構造色に関する知識を活かして服飾というアイデアを思いつき、ストーリーに盛り込むことができました。

 

このように、インターネットによって大量の知識をその場で得られる現代においても、知識を活かすためには一度それについて学び、理解し、記憶していなければなりません。逆に、そのように蓄積された学びは、必要な時が来た時に活性化し、大きな強みとなります。

 

大学での学びは、高校の頃より専門的になります。しかしそれは、他分野の学びが無意味・無関係になるということではありません。むしろ、主体的に学び、それをアウトプットに結び付ける過程では、いかに広い視野で物事を見て、他分野どうしを結び付けられるかが重要になってきます。高校生のみなさんも、ぜひ多くのことを学び、それを自らの糧としてください。

 

※東京大学初年次長期自主活動プログラム(FLY Program)
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/academics/zenki/fly/

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