模擬国連に挑戦!~第1回高校教育模擬国連大会

大使として参加した皆さんに聞きました

西大和学園高校[奈良県] 佐々木開大くん(2年)、今津隆弘くん(2年)

担当国:朝鮮民主主義人民共和国

左から 今津隆弘くん、佐々木開大くん
左から 今津隆弘くん、佐々木開大くん

■皆さんの担当国は、核軍縮についてどのような立場をとっていましたか。

 

今回の会議において、北朝鮮という国には国際的な核軍縮の流れの中で核保有や核開発を止めることはないという前提がありました。そこで、2人で北朝鮮が核保有に至った原因核開発を続ける理由などを追求しました。

 

そして、北朝鮮が核を保有したのは、国力が圧倒的に低いから。北朝鮮が核開発を続けるのは一度持ってしまった以上手放すことに恐怖があるから、という主張を展開することが、「核保有や核開発を続ける」という国益に繋がると考え、「他の核兵器保有国が、核軍縮を達成しない限り一切の核放棄に関する交渉に応じることはない」という立場をとりました。

 

■教育模擬国連に向けて、どのような準備をしましたか。

 

北朝鮮の核に関する情勢のリサーチやスピーチ、決議文書の作成です。ただ、準備といってもリサーチや決議文書の作成は終わりがないもので、どれほどやってもやりきれないので、特にスピーチの準備が一番重要でした。

 

初めに僕が作成したスピーチはとても挑戦的なもので、核不拡散を実施しないアメリカを激しく批判するものでした。入念に英語の表現も強いものにして、1日目に議場全体へ強い印象を与えたいと思っていましたが、順番が最後の方になり、スピーチは2日目の昼頃になってしまいました。そのため、既に用意したものでは不十分な環境になっていたことから、内容を決議文書に言及する比較的穏やかな内容のものに変更するため、スピーチ直前まで原稿を書いていました。しかし、そんな中でも無事にスピーチは成功し、注目を集めることができました。僕たちが言いたいのは、実はスピーチの準備で大事なのは、原稿を準備することでなく、大使たちの前で話す自分のイメージや心持ちを準備することです。模擬国連で実際これまでいくつかスピーチをしてきましたが、今回の会議はこれまでにない規模の大会で、聞いてくれる人が多かったので、かなり準備をしました。

 

■準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。

 

北朝鮮からの情報の開示があまりにも少なく、情報を集めることに苦労しました。ポジションペーパーの中に核保有数の欄があったのですが、いくら調べても公式なデータがなくて最終的に「10発(推定)」となり、ため息をついたのを覚えています。(今津くん)

 

北朝鮮を取り巻く国際情勢が、会議の直前でさえも変化していたことです。北朝鮮と付近の国との問題は現在進行形で悪化していたので、それらに目を配りつつリサーチをするのが大変でした。もう一つ大変だったのは、北朝鮮の実質的な独裁体制を会議行動に加味することです。奇抜な髪形の総書記は発言が過激で、その部下である我々も彼に配慮して会議に臨む必要があったのは面白かったことでもあり、同時にかなり苦労したことでもありました。(佐々木くん)

 

■大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。

 

国としての印象がマイナスからスタートしている会議で、どうすれば自国の不利にならないように、さらに欲を言えば有利な状況を生み出せるか、どこの国と協力して何のために何を目指すのか、ということを考えるようにしていました。今回の会議では、そのビジョンが比較的すぐに固まったため、会議全体を通して一貫した行動ができたと思っています。(今津くん)

 

北朝鮮は、国際社会のなかで特殊な国の一つです。世界の三分の二の国としか国交を持たず、閉鎖的で孤立しており、さらにはミサイルや核兵器を自分で実験開発する発展途上国です。会議の中でどのような国と話をし、交渉するのかということに気を付けていました。実際会議1日目に、アメリカ合衆国大使のスピーチで北朝鮮を批判する内容が発言されましたし、模擬国連の性質上国交を持たない国との話し合いもしましたが、2日間ずっと中国大使やロシア大使との関わりを重視して動いていました。(佐々木くん)

 

■会議を進める上で一番大変だったことを教えてください。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。

 

北朝鮮という国を認識してもらうことが大変でした。100人を超えると、なかなか顔を覚えてもらえません。そこで、まずは顔を覚えてもらおうと考えて、ペアと分担して動き回って、できるだけいろいろな国と交渉するようにしていました。その際に、必ず自国の名前を名乗っていたことは、後から考えると良かったと思っています。(今津くん)

 

一番大変だったことは、どこのグループにも属さずに、自身の国益を追求することです。あらかじめペアとの間で、北朝鮮は、自国の核軍縮を行うことには完全に反対なので、核軍縮を進めるような決議のスポンサーにはならないと決めていたので、どこでグループから抜けるか、どうやってグループ外から影響力を持つか悩みましたし、実際に実行するのも大変でした。(佐々木くん)

 

■教育模擬国連に参加した感想をお話しください。

 

今回の会議は、スピーチも交渉もWPもDRも日本語という、僕が模擬国連で活動してきて初めての形式でした。ふだんの校内会議では英語に委縮してしまい、なかなか思うような行動ができていなかった僕にとって、今回はまさに夢のような大会でした。また、一切委縮することなく全力でやりきった結果として賞を頂けたことは、僕に大きな自信を与えてくれました。第2回、第3回とこれから続いていくであろうこの大会が、僕のように自分を変えたいと思っている人々にとってのきっかけとなることを心から祈っています。 (今津くん)

 

まずよかったのは、審査員特別賞をいただけたことです。リーダーの立場はとらなかったので、優秀賞や最優秀賞は無理だと思っていたのと、唯一審査員の客観的な目から決まる賞ということで、とても価値のあるものだと思っています。

 

もう一つは、日頃で会うことのない日本全国の高校生に出会えたことです。日頃僕たち西大和学園模擬国連部は、関西の同じように模擬国連をしている学校の生徒としか関わりがないのですが、教育模擬国連では関東含む多くの地域の、全然知らない学校の中高生と出会えたのはとても楽しく、また価値がありました。関西弁に新鮮な反応が見られたのも、とてもおもしろかったです。(佐々木くん)

 

 

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