中学生に“WHY DO WE STUDY?”を考える意味を伝えたい!

高校生・ギャップイヤー生が中学生向けサマースクールを立ち上げた 

~Triangle Summer School 2015


Triangle Summer Schoolは、2013年夏に行われた高校生向けのサマースクールで出会った2人の高校生が、「自分達自身の手で、中学生に、自らの意志で未来を描き学び続ける姿勢を伝えたい」という思いから、2014年に立ち上げました。中学生が、高校生や大学生と交流し、将来のプランを立てるための学びをし、プランを実際に立てて発表し合う3泊4日の合宿プログラムです。

 

「Triangle」は、参加者として「学ぶ」中学生、企画から広報・運営までの一連のプロセスを「創る」高校生、そして豊かな見識に基づいて「教える」立場からサマースクールを支える大学生の三者が支え合ってともに成長していくことを表現しています。

 

■運営スタッフに聞きました
高校生だからこそできるサマースクールを実現させた!

高校生が参加するサマースクールはいろいろありますが、高校生自身が運営するというものは、類を見ないと思います。なぜ高校生の手でサマースクールを立ち上げようと思ったのか、そして既存のものとは何が・どのように違うのか。運営スタッフに聞きました。

・倉田芽衣さん[代表] Grinnel College 1年
・天野淳風くん[副代表]桐蔭学園高校 3年
・林苑芳さん[広報担当]ギャップイヤー生

 

Q1.高校生・ギャップイヤー生の手でサマースクールを立ち上げようと思ったのはなぜですか。


倉田さん
倉田さん

倉田さん)私は昨年から参加しています。きっかけは大学生が運営する8泊9日のサマースクール(※1)に参加して出会った仲間に誘われたことでした。私自身、日本の中学では勉強は教えてくれるけど、「なぜ」を考える時間がないことを感じてきました。でも、義務教育を変えることというのは本当に難しいということもわかってきたので、それならば学校の外にそういう機会を作ることができたら、と思ったからです。
※1 HLAB http://tokyo.h-lab.co/

天野くん)僕は、日本の中等教育だけでなく、中国や韓国でも、その国独自の教育の良さというものがなくなってきているように感じます。単に一方的に西欧化すればいいというものではないのではないか。自分で留学フェローシップのサマーキャンプ(※2)や、日中韓高校生リーダーシップサミット(※3)に参加したことから、自分達の手で何とかならないか、と思うようになりました。
※2 http://ryu-fellow.org/
※3 http://www.intilaq-tls.org/

Q2.高校生という、まだまだ将来がはっきりと決まっているわけではない皆さん自身がサマースクールを運営する、ということの意味やアピールポイントは何だと思いますか。


倉田さん)中学生から高校生、大学生にかけての年代は、近い立場でありながら、1年の差がすごく大きいと思います。中学生に年が近い私達だからこそ、中学生の気持ちがわかったり、彼らが話せたりすることがあると思います。


合宿って、人と人との深いつながりが作りやすくて、すぐ仲良くなれると思います。私も、昨年のこのサマープログラムの代表と仲良くなりました。だから、自分達が欲しいサマープログラム像というものは、とてもイメージしやすかったです。そこから相手が中学生である、ということに合わせて、自分達の新しいアイデアを盛り込んでいきました。

 

林さん
林さん

林さん)今の中学生・高校生って、1年でがらっと傾向が変わると思います。私達がこのような企画を実現できたのは、ここ数年のネットやフェイスブック等の広がりがあったからこそだと思います。だから、このような資源を活用することで、今の中学生が求めていることにいちばん近い形で実現につながったのだと思います。


倉田さん)中学生・高校生は学年が進めばやがて卒業、ということになりますが、昨年中3で参加した子が、今年は実行委員として参加してくれた、という例があります。運営している人と年が近いから、このサマースクールを通して受け継がれていく、ということもできると思います。大人がやっているイベントでは、そのようにすぐに引き継ぐことはできませんよね。
 

天野くん
天野くん

天野くん)中学生向けのサマースクールって、実はあまり多くないのです。受験勉強の合宿はよくありますけど(笑)。このサマースクールで大事にしているのは、「考えることの大切さ」です。人生を真剣に考えること。高校生も、その大切さを教えることで成長できると思います。

 

Q3.その「考えることの大切さ」を中学生に伝えるために、どんな工夫をしていますか。

倉田さん)プログラムで言えば、「INQUIRY」です。自分が好きなことを考えて、そのプロセスを考えていくこと。そして、ある程度人生の目標が決まっている人に話をきいてみることが大事だと思いました。

 

天野くん)僕は、考えを深めるためには、自分の話したことを人に受け入れてもらうことがとても大事だと思います。だから、年が離れすぎていない高校生の僕達だからこそ、中学生も話しやすいし、僕達も受け止めてあげられると思います。

 

林さん)海外留学を考えるかどうか、という点でも、高2で考えるのと中3で考えるのは、全く意味が違うと思います。昨年中学生で参加した人の中に、今年高校で留学したという人もいましたから。中学生は純粋な興味で留学を考えるけど、高校生や大学生は、ある種の権威づけ、ということを考えしまうところもありますね。

天野くん)自分が何をしたいか、ということを真剣に考える経験をしていれば、仮に「あー、どうしよう」と思うことがあっても、自分の選択をよしとすることができるようになると思います。そういうことを、参加する中学生にも知ってほしいと思いますね。

Q4.運営の上で注意しているのはどんなことですか。


林さん)何と言っても安全面です。個人的には、1に安全、2に楽しさ、3に学びと言ってもいいくらい。個人的な外出は認めない、就寝時間は守る、何かあったらすぐ自分のFamilyの高校生や大学生に伝えるなど、きめ細かく目を配っています。この点は、プロとしての意識を持っています。


Q5.皆さん自身の将来の夢を教えてください。

倉田さん)このサマースクールを始める前から教えることや授業を工夫することにとても興味がありました。9月から進学するのがリベラルアーツカレッジなので、幅広く教育について学びたいと思います。ゆくゆくは、教職免許を取って、教育の現場に立ちたいと思っています。

天野くん)僕は、政治、経済、哲学に興味があります。政治を学ぶには、いろいろな比較の「軸」というものを持っている必要があると思うので、これからはその原体験を増やしていきたいと思っています。

 

実際にどんな4日間だったのか、取材に行ってきました。

詳しくはこちらから↓
学校の勉強とは違う「学び」があることを知る
~Triangle Summer School 2015レポート

わくわくキャッチ!
今こそ学問の話をしよう
河合塾
ポスト3.11 変わる学問
キミのミライ発見
わかる!学問 環境・バイオの最前線
学問前線
学問の達人
14歳と17歳のガイド
社会人基礎力 育成の手引き
社会人基礎力の育成と評価