オーストラリアを旅してみつけた自分の道

-高校4年生・新造真人のオーストラリアの旅記録-


vol.8 海外で挑んだインターンシップ

インターンシップ中の様子、遊びも仕事も
インターンシップ中の様子、遊びも仕事も

空気読んでる場合じゃない

オーストラリアで活躍する日本人経営者の方々による講演会があると聞いた。
「将来、世界で活躍するのだ!」と考えていた僕は、自身が描く将来像の“成功モデル”である人々の話を聴こうと考え、即決で参加を決める。

その講演会で、オーストラリアでDOGSTAR(ファッションブランド)を経営するMasayoさんという日本人女性の話に魅せられた。その方がデザインする服がカッコいいのはもちろん、その方の聴衆を大切にする温かい話し方に魅了され、彼女の会社を経営する中で得た体験の話に興奮した。「この方みたいに、世界で優雅に活躍したい!」その思いで溢れ、もっと話を聴きたいと強く思った。

講演が終わり、講演会に関するアンケート用紙が参加者に配られた。その間に、忙しい講演者の方は会場を後に次の現場に向かうようだった。

「アンケートなんか書いてる場合じゃない!自分の中で溢れ出しそうな感情を直接Masayoさんに伝えねば!」と、何を思ったか、僕は1人会場を抜け出し、ダッシュでMasayoさんの後を追った。

Masayoさんに講演会で感じたことを直接伝えることができた。将来は、アートで世界を驚かせるという自身の夢を語った。「こうやって行動を起こせるあなたは、将来活躍するよ。楽しみだね」。内心話しかけることに緊張していた青年には、嬉しすぎる言葉だった。心の中で大きくガッツポーズをした。無邪気に舞い上がった。
 

青空に舞い上がる真っ赤なりんご
青空に舞い上がる真っ赤なりんご

人生初、夏休み延長を試みる


日々が過ぎ、「もう一度Masayoさんに会いたい!」という思いが芽生えた。以前お話した際に頂いた名刺のことを思い出す。そこに書かれていたメールアドレスに向け「あなたに会いたい」という、長い文章を送ってしまった。

翌日に返信が来た。どうしたことか幸運にも、DOGSTARでインターンシップ(学生が一定期間企業などで研修生として働き、自分の将来に関連のある就業体験を行える制度)を行えることになり、嬉しさのあまり叫んだ。(文字通り叫んでしまったので、ホストマザーに心配されたのは、今は良い思い出だ。)

オーストラリアで通っている高校の長期休暇を利用し、インターンの実施を考えた。より自身を成長させるために、より長いインターン期間が必要だと考え、あろうことか学校長に「夏休みを長くしてくれ」と直談判しに行った。「俺は、つまらない授業をわざわざ受けに留学を始めたんじゃない。成長する為に留学を選んだんだ!だから、夏休みを長くして、インターンシップを認めて欲しい」。こんな大それたことを、平気で言っていた自分が恐ろしい。さらに、学校長に向かって英語で喋っていたことを想像すると、過去の自分が誇らしくさえ思う。凄い。

その後、校長室を何度も訪れた。自分の熱い思いを何度も伝えた。「夏休み延長」がいかに自分の留学にとって重要なのかを力説した。つたない英語でも、交渉は可能だった(こんなこと日本でやったことない)。粘りに粘れば、願いは叶う。最後には学校長から念願のOKを頂き、人生初の一週間の「夏休み延長」を手に入れた。
 

オーストラリアで1年間通っていた現地の高校
オーストラリアで1年間通っていた現地の高校

言語自体はコミュニケーションの壁ではない


そして、とうとう「贅沢で、ちょいと長めの夏休み」が始まる。インターンシップでは、カナダ人の女性とペアを組んでDOGSTARのブランドイメージビデオの制作に取りかかった。商品のタグ付けなどの地味な仕事も、積極的にやった(むしろ、それくらいしか即戦力になれない)。

DOGSTARでは、オーストラリア人、日本人、カナダ人、韓国人、フランス人、ヨーロッパ系の人、などなど、うろ覚えだけど多国籍の人々が働いていた。もちろん使うのは英語。さすがファッションブランドだけあって、どの方も綺麗。「将来はこんな職場にしたい!」と青年の夢は壮大さを増した。

何度か会議に混ぜてもらったが、インターンの僕でもどんどん意見が言える。下手くそな英語では伝わらない自分のアイデアを、身振り手振りと、絵や写真を使ってどうにかこうにか伝えた。そして、アイデアがやっとこさ伝わって、採用される時は本当に嬉しかった。言語自体はコミュニケーションの壁ではないことに気が付いた。こうした英語が絶対的に必要な状況におかれると、英語の伸びは凄い。英語でコミュニケーションして、ビジネスをしているというのが、感動体験だった。2年前、まったく英語を喋れなかった頃からは、本当に想像できない(ガンバレ、今の俺)。
 

インターンシップ中の様子、遊びも仕事も
インターンシップ中の様子、遊びも仕事も

インターンを体験して考えたこと


そして、最後にインターンシップを通して考えたことを2つあげたい。

まず1つめ。
「やりがいのあることを仕事にしなければならない。」と考え始めた。ビデオを作るのは、とても楽しかった。まさに自分が求めていたクリエイティブな仕事。大きなやりがいを感じた。しかし、その反面、やっぱりつまらない仕事もある。商品のタグ付けや運搬など。正直とても退屈だった。仕事は、自分の人生の大半をこれから占めて行くだろうから、どんな仕事にもやりがいを見いだせるようになりたいと思った。
 
そして2つめ。
働くなかで、「何が価値を生み、何にお金が支払われているか」を考えるようになった。自分がタグ付けしている服が、僕の手元に来る前後で非常に多くの人の手を渡っている。デザインを考える人、布を作る人、裁断する人、服にする人、在庫管理や、流通の人々。その全ての中にお金の流れがある。一枚の服が誰かに着られるまでに、様々な局面があるということをこの目で見た。(留学生なので、仕事を手伝ってもお金は頂けません。たしか法律で禁止されています。)


お世話になったDOGSTAR
お世話になったDOGSTAR

大切な言葉“Do little, do often”

ある講演会に参加したことから、貴重な体験が始まったと、今は思う。ただ参加して終わりじゃなくて、“周りの空気を読まずに”一人会場を抜け出したからこそ生まれたつながり。そのつながりは、僕が図々しくもメールをしたことでもう一度繋がった。その中で、人生初の「夏休み延期」を手にいれるという、予想外のことが起きた。そして得ることとなったインターンの体験も、全ては、小さな行動の積み重ねが生んだとの確信している。

“Do little, do often”

僕が大好きだった数学の先生がいつも言っていた言葉。別に大きなことじゃなくても、積み重なれば大きな変化になるのだと思う(自分に言い聞かせる)。英語をぺらぺらになって、世界で活躍したい。世界各国の美女と仕事がしたい。だから僕は、今日も、英語を勉強する。頑張ります。頑張りましょう!!

新造真人/Makoto Shinzo
Web: http://mrmakotos.wix.com/ffff

みんなに読んでもらおう!! 

↓Facebookでシェア


わくわくキャッチ!
今こそ学問の話をしよう
河合塾
ポスト3.11 変わる学問
キミのミライ発見
わかる!学問 環境・バイオの最前線
学問前線
学問の達人
14歳と17歳のガイド
社会人基礎力 育成の手引き
社会人基礎力の育成と評価