第4回全国高校生徒会大会を終えて

参加した人の世界観を変えるような大会を目指した日々から学んだこと

実行委員長インタビュー:須田隆太朗くん(広尾学園高校3年)

実行委員のメンバーと。中央が須田くん
実行委員のメンバーと。中央が須田くん

全国から約140人の参加者を集めて大成功のうちに終了した第4回生徒会大会。実行委員長の大任を果たした須田隆太朗くん(広尾学園高校3年)に、大会を終えた気持ちと今後への期待を聞きました。

 

インタビュー 2016年4月14日

インタビュアー 舩木駿一くん(早稲田大学2年/生徒会大会OB)

 

一生の仲間になれるメンバーと全力で議論した経験をこれからの糧に

 

――実行委員長として、第4回大会をどのような大会にしようと考えていましたか。

 

須田くん まず、僕はこの大会に全国から参加者が集まることが奇跡だと考えており、その奇跡によって参加者の世界観が変わるような大会にしたいと思っていました。

 

以前の大会でも、大会を通じて意見を交換できたのはもちろん、それ以上に自分自身の考え方や物の見方が変わったという参加者が多く見られました。そのような、考え方のパラダイムシフトを参加者に経験してほしいと考えていました。また、生徒会大会のOBの方たちの講演会もあり、その講演の内容を、迷ったり悩んだりした時の指針にしてもらえるのではないかと思います。

 

 

――須田くん自身が今回の大会から得られたことは何ですか。

 

須田くん 一番は、自分がなぜ大会運営をするのかをじっくり考えられたこと、そして、大会運営を通じて一生の仲間とも呼べる繋がりを持てたことです。また、大会で行われるような真面目な議論は、学校では「意識高い系」と捉えられがちですが、ここでは全国の仲間たちと全力で議論することができ、そのような機会と場を設けられたのは大きな価値だと思いました。

 

――下準備から大会を通じての一年間で最も上手くいったことは何ですか。

 

須田くん やはり当日だと思います。司会や議長などの表舞台の実行委員たちがそれぞれ活躍してくれて、大会がスムーズに進んだことが一番の成功です。また、各人が生徒会活動や様々なイベントで培った特技を発揮してくれたのがとても良かったと思います。

 

――逆に、上手くいかなかったことや大変だったことは何ですか。

 

須田くん これは、コンテンツの面だと考えています。議論のテーマやトピック、流れをあらかじめ考え、議長にもマニュアルとして渡していたのですが、その結果マニュアルに縛られることになったり、参加者の意図との食い違いが起きたりしてしまいました。そのような食い違いなどを当日に修正しながら大会を進めるのがとても大変でした。

 

例えば、1日目は「生徒会の存在意義」についてディスカッションをしたのですが、その際に「生徒会の定義」や「文科省が生徒会を廃止する理由」などについても議論してもらおうと当初は考えていました。しかし、それらが上手く伝わりきらず、議論が停滞したり、「そもそもなぜこの議論をするのか」という疑問が参加者から生じてしまったりしてしまいました。

 

また、2,3日目にマニュアルを修正しているうちに、最終日の発表形式が多種多様になり、 

各議題にとって有効な発表になったのは、結果的には成功だったと思います。

 

 

今後の伸びしろを期待するからこそ、あえて厳しめの点をつける

 

――須田くんが今回の大会に点数をつけるとしたら何点ですか。

 

須田くん 大会当日のイベントそのものについては70点だと思っています。それは、大会の進行が円滑に進んだことや、初日に問題は生じたものの結果的には議論に実りがあったことなどを考慮しての点数です。特に東北交流の班では、学生団体を立ち上げようという話になって、大会後もスカイプで議論が行われているらしいので、今後の生徒会活動に大きく繋がっていると考えられます。

 

しかし、NSCC(全国高校生徒会大会)という団体としては40点だと思っています。それは、イベント当日のためだけのNSCCではないと考えており、準備段階に行われるSNSや新聞制作などの広報活動がまだ十分ではなく、イベント以外でも全国の生徒会の役に立てるような体制が整っていないからです。また、他の生徒会団体の支援をできるのではないかと考えており、生徒会活動に対する制限が強い高校においても、地域の生徒会団体が活動できるようにバックアップできると思います。それらの伸びしろを考慮して、40点という厳しめの点数をつけました。

 

――第5回の実行委員をしようと思っている人たちへ、メッセージをお願いします。

 

須田くん まず、実行委員をやりたいと思っている人たちには、NSCCが存在していることを当たり前だと思ってほしくはないです。大会の回数を重ねる毎に、「大会の開催自体がすごい」という考え方から「大会の開催は当たり前」という考え方にシフトしつつあります。ですが、大会を開催できるのは1年間の準備と周りの支援があってこそのものなので、それを当たり前とは考えず白紙の状態から準備を始めてほしいです。

 

また、第3回くらいまでは大会の開催自体が珍しいものなので、議論をしているだけでぼんやりと得られるものがあったと思われていたのですが、第3回を終えて曖昧な議論の中だけではかえって何も得られないということに多くの人が気付き始めています。そこで、第4回では議論の流れやテーマを詰めてコンテンツを作ったのですが、第5回以降でもどのようにNSCCを改善していけるのかを考えて準備をしてほしいと思います。それは実行委員会そのもののパラダイムシフトにも繋がっていると思います。

 

―最後に、第5回に参加しようと思っている人たちへ、メッセージをお願いします。

 

須田くん 参加者の皆さんには「1年後に参加しよう」ではなく「今から参加しよう」と考えていただきたいです。つまり、今までは年に一度参加するだけのイベントと捉えられることが多かったのですが、これからは、次のNSCCに向けて自ら何かをしようという意識で生徒会活動に取り組んでほしいということです。

 

NSCC自体が個人の集まりからできたものなので、自分でもNSCCのようなイベントを作れるのではないかと考えてほしいです。そして、そのような活動をしてくれた人たちには、再びNSCCに参加して、自分の活動を見直す機会や団体同士の繋がりを作る機会にもしてほしいです。

 

【取材を終えて】

インタビュアー 舩木駿一くん(早稲田大学2年/生徒会大会OB)

 

今回のインタビューで最初に抱いた感想は「予想外の回答が多い」ということでした。例えば、「最も上手くいかなかったことは何か」という質問に対して、私は異なる回答を予想していました。高校生ならではの情熱的な意見の対立や、実行委員長としての責任に対する重圧で思い悩んでしまったことなどが返答されると思っていたのです。しかし、返ってきたのは「当日のマニュアル修正」というもの。この回答を聞いた途端、準備期間における須田くんのリーダーシップや実行委員たちの優秀さ、そして何より須田くんの芯の強さを感じ取ることができました。これは、須田くんの実行委員長としての素質を、実行委員全員が信頼していた証拠だと言えます。

 

また、須田くんが今回の大会に厳しめの点数をつけたことや「大会の存在を当たり前に思ってほしくない」という言葉からは、須田くんが誰よりも大会そのものの未来を考えているのだという様子が伺えました。決して現状には満足しない須田くんのストイックさは、先ほど述べたように実行委員たちの優秀さや信頼関係に繋がっているのだと思います。

 

生徒会大会は、回数を重ねる毎に進化しています。それは、着々と前代から受け継がれる意志が積み重なった結果です。須田くんたちの確固たる意志を受け継ぐ次回の第5回全国高校生徒会大会は、これまでのあらゆる大会を超える素晴らしい大会になると期待しています。

 

第5回の成功を祈って、今後もぜひ全国高校生徒会大会を応援していただければ幸いです。

 

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