第41回全国高等学校総合文化祭(みやぎ総文2017)自然科学部門

自然の恵みが築いた街 石巻で繰り広げられた高校生の科学の祭典

大会マスコットキャラクター「むすび丸」
大会マスコットキャラクター「むすび丸」

「高校生最大の芸術・文化の祭典」、全国高等学校総合文化祭。第41回の今年は、「みやぎ総文2017」として宮城県内10の市と町で、23の部門に国内外から約2万人の高校生を集めて開催されました(7月31日~8月4日)。

 

今回の自然科学部門は、宮城県石巻市の石巻専修大学で開催されました。8月2日・3日の2日間、「物理」「化学」「生物」「地学」「ポスター(パネル)」の5部門で、合計188の研究成果の発表が行われました。また、8月3日の午後は石巻市や仙台市周辺の様々な研究施設やフィールドの巡検、8月4日は仙台市の仙台国際センターで、東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦先生の記念講演と閉会式が行われました。

 

[みやぎ総文2017ホームページ]

http://www.miyagi-soubun.jp/

 

■研究発表

研究発表では、物理36、化学37、生物39、地学35のプレゼンが行われました。 

 

1校あたり持ち時間12分以内の発表と、その後4分以内の質疑応答で行われます。審査は発表前に提出された研究発表論文による事前審査(計10点)と、発表会場での当日審査(計30点)によって行われました。

 

【物理】愛媛県立松山南高校 SS物理水滴班

水滴が作る「水の柱」は、よく見るとこんなに美しい!

 「水滴は水面でどのようにはね返るのか」

 

【化学】静岡県立三島北高校 科学部

手軽で安価な蒸留装置で、水不足に悩む人たちを救いたい!

 「海水の淡水化装置の開発」

 

【生物】秋田県立秋田高校 生物部

発がん抑制に役立つ夢の物質?! レモングラスに含まれる香料の成分物質を探る

 「突然変異抑制効果を持つ物質の探索」

 

【地学】愛媛県立宇和島東高校 地学部チームマグマ

宇和島の地形形成の神秘に迫る~マグマの分化の再現に挑戦 !

 「『マグマの分化』モデルをつくる-混合溶液からの結晶析出-」

 

【物理】長崎県立西陵高校 科学部

オセアニアの伝統楽器「うなり木」の動きと音の関係を解き明かせ!

 「『うなり木』の研究」

 

【化学】佐賀県立佐賀西高校 サイエンス部

ステロイドホルモンが細胞膜を透過するメカニズムに迫る!

 「脂肪酸の単分子膜形成における疎水基の効果」

 

【物理】滋賀県立膳所高校 物理地学班

ビル上層階の地震の揺れを小さくして倒壊から守れ!

 「液体の振動を利用した建築物の制震について」

 

【化学】岩手県立盛岡第三高校 SSコース化学班

最新機器を活用して、アルミ板の不動態形成の条件をつきとめる!

 「不動態と硝酸濃度の関係について」

 

【物理】富山県立富山東高校 科学部

科学オリンピックの過去問の実験を徹底解明してみた!

 「ガウス加速器の解明実験」

 

【物理】島根県立島根中央高校 自然科学部

誰でも知っているけれど、実は不思議な「水円」のメカニズム

 「落下する水柱がつくる円の研究Part2 」

 

【地学】鹿児島県立国分高校 サイエンス部雲班

手作りの実験装置で突き止めた、雲が作る絶景の発生条件

「桜島に現れる横一直線の雲の秘密に迫る!~姶良カルデラが生み出す独特の雲~」

 

【化学】大分県立大分上野丘高校 化学部

化学の授業で学ぶ現象を徹底解明、製薬への応用も視野へ

「水酸化鉄(Ⅲ)コロイドの研究」

 

【地学】北海道札幌藻岩高校 フィールドサイエンス部

古代へ思いを馳せる~植物化石が見せてくれる「4000万年前の景色」

「4000 万年前の夕張の河畔植生の復元~幾春別層から産出する植物化石による古植生解析~」

 

【地学】大分県立三重総合高校 自然科学部

酸性雨は豊後大野の景観の敵なのか?

「阿蘇溶結凝灰岩に対する酸性雨の影響」

 

【地学】埼玉県立浦和高校 地学部

「地球照」で宇宙人を探すことはできるのか?!

「地球照のスペクトル〜地球外生命体の探し方〜」

 

【地学】海城高校(東京都) 地学部

石灰岩に刻まれた古生代末期の海面変動を追う

「栃木県葛生地域に分布する礁性石灰岩の形成環境」

 

【化学】埼玉県立大宮高校 自然科学部 化学研究班

中学時代から追いかけ続けた塩の不思議な結晶の生成のメカニズムに迫る

「逆トレミー塩(仮称)における諸相」

 

【地学】智辯和歌山高校 科学部

恒星なのに明るさが変化!? ~食変光星の光度変化を追え!

「食変光星アルゴルの観測データを用いた光度変化の分析」

 

【地学】千葉県立佐倉高校 天文気象部

都会の暑さをこれで解消! ~ヒートアイランド現象の原因を探る

「ヒートアイランドをクールに ~ヒートアイランド現象の原因と対策~」

 

【物理】熊本県立宇土高校 科学部物理班

6年間の研究成果が高校物理の教科書に載ることが決定! レンズが作り出す『副実像』の徹底解明

「“副実像”の写像公式化の研究~捉えた!ゴーストの出現位置~」

 

【物理】福島県立会津学鳳高校 SSH探求部

再生可能エネルギーの切り札 太陽電池のより正確な特性評価を目指して

「太陽電池の気特性自動評価システム開発 ―Arduino とリレー回路を使ったシステム作成―」

 

【化学】兵庫県立宝塚北高校 化学部

小学校理科でも扱う「糖類」なのに、判別できない・・・とは言わせない私たち!

「糖類を定性的かつ簡単に判別できるか」

 

【地学】静岡県立磐田南高校 地学部

落雷が引き起こす上空の発光現象 縞構造の発生メカニズムを追う

「縞構造を伴うエルブスとOH バンド大気光波動の同時観測及び大気光波動観測システムの改良」

 

【生物】新潟県立長岡高校 生物部

前後の音を聞き分けられるのはどうして? 「聞こえ」の不思議に迫る!

「耳の研究 ~なぜヒトは前後の音を聞き分けられるのか~」

 

【物理】群馬県立前橋女子高校 理科部

毎朝の通学駅改札口の混雑、どうしたら緩和できる?

「混雑時に出口から早く出るには」

 

■ポスター(パネル)発表

「ポスター(パネル)発表」は、41件の出展がありました。 

 

研究内容や研究成果を縦120cm×横180cmまでのサイズの用紙にまとめて掲示し、実験器具なども展示。来場者がブースを訪れるとプレゼンし、質疑応答や意見交換を行います。 審査は、研究発表と同様、発表前に提出されたポスター(パネル)発表論文(10点)と発表会場での当日審査[2日間で2回・1回目は10分程度のプレゼンと4分程度の質疑応答、2回目は質疑応答のみ](30点)で行われます。さらに、ポスター(パネル)部門は、参加校からの投票(自分の学校以外)も加点されます。

 

【ポスター部門/生物】岐阜県立岐阜高校 自然科学部生物班

最新のテクノロジーを利用して、絶滅危惧種カスミサンショウウオの新たな生息地を発見!

「守れ!ふるさとのカスミサンショウウオVIII

    ~GISと環境DNAを用いた新規生息地の発見~」

 

【ポスター部門/生物】大分県立佐伯鶴城高校 科学部

高速道路のルートを変えさせた希少植物の不思議な生態を追う

「大分県指定天然記念物カマエカズラ(マメ科)の花・葉・種子の特徴について」

 

【ポスター部門/生物】山梨県立韮崎高校 生物研究部

ハエととことん付き合うことで解明した青色光の殺虫効果

「青色光によるハエの死亡原因は本当に酸化ストレスなのか」

 

【ポスター部門/地学】佐賀県立佐賀西高校 サイエンス部

使えた写真は4万枚中3枚!? 流れる星の軌跡をつかまえる

「流星が酸素を光らせる!!3~回折格子による流星痕の分光観測~」

 

■講評~自然からの語りかけに耳を傾けよう

閉会式では、審査結果の発表の後、各部門の審査結果について、審査委員長からの講評がありました。 研究に取り組む姿勢について、とても参考になるお話がありましたので、要旨を紹介します。

 

先行研究との比較によって研究の位置づけを明確に

 

発表の内容は、身近な現象を科学的な視点から検証したり、高校生らしい興味・関心をふくらませたり、大学などと連携して調査したりと幅広く、また実験装置や方法に高校生らしい工夫が凝らされたものがたくさんありました。その中で入賞した発表は、先行研究をしっかり押さえた上で、工夫や新規性をきちんと明確にしたもの、膨大なデータを部員全員で手分けして分析したものなど、科学的に高く評価されるレベルのものでした。

 

今後の研究や発表に向けて、課題や注意すべき点をお話しします。

 

まず、発表時間の超過や論文集の形式が規定通りでなかったため、減点対象になった発表がいくつもありました。審査の基準や形式はルールですから、これはきちんと守るようにしましょう。

 

また、先行研究については、先輩達が行ったものだけでなく、国内外の研究をきちんと押さえるようにしてください。先行研究と対比することによって、自分達の研究の位置づけをより明確にしてほしいと思います。

 

初めて見る・聞く人にもわかる工夫を

 

説明の仕方にも工夫が必要です。論文集を読んだだけでは、何を目的にしているのか、結果はどうなったのかがよくわからないものがありました。独善的にならず、初めて見る人にもわかるように伝えられているかを意識するようにしましょう。

 

わかりやすさという点では、発表のスライドやポスターの作り方にも注意しましょう。たくさんの情報を入れようとするあまり、文字が小さ過ぎて見にくいものがありました。文字で説明するもの、図や写真で表現するもの、口頭で説明するものの使い分けが必要です。また、細かいところですが、グラフの縦軸・横軸に単位が入っていないなど、基本的な部分が抜けているものもありました。

 

難しい実験をしたり、立派な機器を使ったりして精密なデータを取るのはすばらしいですが、データを取ったことで満足してしまっているように感じられる研究や、結果の考察で予想と合っていたかどうかまでしか述べられていない研究が散見されました。高校の部活で、時間や期限が限られた中で結果を出すのは難しいかもしれませんが、データや結果に満足するのでなく、その先にある「自然が語りかけてくるもの」に耳を傾けることこそ、科学を究めるための大切な姿勢です。そのためには、自分達の研究対象をよく知り、「親友」になってください。

 

自然科学部門生徒実行委員長の相原竜くん(宮城県仙台第三高校3年)は、昨年のひろしま総文にも出場。みらいぶでインタビューしました。

 

■みらいぶ特派員編集後記

今回の研究発表・ポスター部門の取材も、みらいぶの大学生特派員が行いました。各部門の取材を終えて、発表への感想、思いを語ってもらいました。

詳しくはこちらから

左から 猪股大輝くん(早稲田大学)、堀賢人くん(東京大学)、森本優喜美さん(MIT)、

小坂真琴くん(東京大学)、山田修平くん(京都大学)、登阪亮哉くん(東京大学)

■来年は長野県で開催

来年の総文祭「2018信州総文祭」は、長野県を会場として、2018年8月7日(火)~8月11日(土)の5日間開催されます。自然科学部門は、茅野市で8月7日(火)~9日(木)の3日間です。 

来年もぜひ、長野県で会いましょう!

 

 閉会式には、来年の総文祭のマスコットキャラクター 信州なび助も登場しました。

 

■宮城県ってどんなところ

みらいぶ大学特派員の猪股大輝くん(早稲田大学教育学部3年)が、石巻とその周辺の街を歩きました。

詳しくはこちらから

 

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