高校模擬国連国際大会、NYの国連本部で開催! 今年も日本チームの健闘が光る!!

鳥取県立鳥取西高校 青木優奈さん(3年)、鎌田康生くん(3年)

国際連合教育科学文化機関(UNESCO: United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)

『Fiding the right balance between tourism and conservation

(観光と環境保全の適正バランス)』

鎌田康生くん(左から2人目)、青木優奈さん(同3番目) 写真提供:鳥取西高校(以下同)
鎌田康生くん(左から2人目)、青木優奈さん(同3番目) 写真提供:鳥取西高校(以下同)

想定通りに進まない場面にも備えて万全の準備を心がけた

青木優奈さん(3年)

■世界大会に向けてどのような準備をしましたか。

 

まず、参加する会議の議題である、“Finding the right balance between tourism and conservation”について、それ自体を調べることからはじめました。観光地としての世界遺産の実態、遺産の歴史的価値や、自然遺産とそれがもたらす恩恵、また世界遺産に限らず観光客の観光地での行動がどのような影響を経済や環境の面で及ぼしているのかということを、世界全体を通した視点から調べました。

 

それから担当国であるウルグアイについて考えました。まずウルグアイの政権について軍事政権から現在の政権に移るまでの歴史、そこから国民がどんな国民は持っているのか、国風はどのような感じなのかということを探りました。そして現在のウルグアイの観光業の実態を調べ、ウルグアイが国としてどのような利益や保護活動をどのような優先順位で望んでいるのかなどを、すべての情報を踏まえて考え、政策を立案していきました。

 

この後は政策が課題解決につながるまでの根拠を明確にしつつ、情報を整理し、より自分たちの政策を強いものにすることに取り組みました。またここでは、世界中に受け入れてもらうにあたってウルグアイが主張することで正当性を増すことはできるか、ウルグアイがfocusすべきものとして適切か、ウルグアイが提案することでremarkable(注目に値する)な案にできるかどうかというような、「ウルグアイ大使」であることにこだわりました。

 

さらにその後は、どこの国と協力できそうか、どの国に自分たちの政策を紹介すれば課題解決につながるかを考えるために、まずウルグアイのある南アメリカ諸国について、地理的な情報から各国にとって重要な産業を調べました。またヨーロッパの現在の観光業の様子、観光地、とくに世界遺産の実態と今すでに取り組まれていたり、実行されていたりする政策についての情報収集も行いました。

 

最後に、本番では電子機器が使えないので、このような情報や自分たちのものを含めた多くの政策を分類し、順序付けてファイリングして、すぐに必要な情報にたどり着けるような整理も行いました。

 

■準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。

 

政策が伝わりやすいものかどうか、この根拠づけで多くの人の納得を得ることはできるかどうか、どのような説明が有効的かを考えることが大変でした。

 

また、他の大使がどのような意見や主張を持ち、政策を提案するかなどを考えて、自分たちの会議行動や戦略を組み立てることに一番悩みました。しかし、すべて自分たちの想定どおりに事が運ぶわけがないこともわかっていたので、どこまでかっちりした戦略や見通しを立て、どこからは会議中に判断すべきこととしておいて置くのかという、かなり柔軟性を求められる中で、自分たちの政策や会行動は本当に通用するのか悩みました(特に、後者については、多くの情報から使えそうな情報のピックアップとまとめ直しをしました)。これについては、去年の派遣団の先輩に連絡を取って、アドバイスして助けていただきました。またニューヨークの滞在中も、引率の大学生の方々に会議戦略面で特にサポートしていただき、とても心強かったです。

 

■会議を進める上で一番大変だったことは何ですか。

 

どんな人とするコミュニケーションでも、その人の心理を掴むことは重要だと思っています。しかし模擬国連会議の場の「交渉」という、様々な人の思惑が交差するコミュニケーションでは、その人の話す英語から微妙なニュアンスを測ったり感じたりするのが難しく、「外交」において一番苦労しました。そこで、気持ちを切り替えて「内政」でも「外交」でも、できるだけたくさんの人と顔を合わせて話し、そのコミュニケーションを楽しもうと考えることで前向きになることができ、交渉もスムーズに行うことができました。

 

■大会を通して、あなたが一番頑張ったことを教えてください。 

 

物怖じしないことと緊張しすぎないこと、冷静に会場を把握することです。

 

確かにネイティブの人たちが交わす会話は早いかもしれないけど、それに入らなければ何も始まらないと思っていたので、どんな場面でも絶対に会話の輪に入り、「議論がヒートアップしてきても、自分がまとめ直す!」くらいの思いで発言しようと覚悟していました。

 

そのため、本番ではそのような場面でも壁を感じず議論に参加し、発言することができました。また公式発言や、スピーチでは緊張して言葉が出てこなくなることがないよう、もしそうなっても口が覚えているくらいスピーチは練習しました。また、本番で即興として直面する公式発言の機会に備え、そこで緊張しないように、発言では顔を上げて相手を認識し、その人に届けるということを常に考えるようにしました。

 

また公式発言や公式に交わされる質疑応答をしっかり聞き取り、会議の方向を常に捉えておくこと、聞き取りながら自分の次の行動を考えることに全力を尽くしました。

 

■今回の大会も含めた旅行全体で、最も印象に残ったことは何ですか。

[渡航経験は今回が6回目]

 

日本派遣団のメンバーとたくさん話すことができて、とても大きな刺激を受けました。特にルームメイトとは表敬訪問先で伺ったことについて議論を交わし、思いや考えを深めることができ、表敬訪問で得た新たな視点に加え、ルームメイトの考えにも刺激を受けて、とても楽しかったです。

 

また、今までしてきた準備や会議本番で意識していることについての話では、本当に多くのインスピレーションを受けました。また、ニューヨーク滞在中や空港、飛行機の中でもいろいろな人と様々な話題の話をできて、その度に、派遣団全員に出会えたこと、何よりこのメンバーの一員でいられことに誇りと驚き、そして感謝を感じました。

 

コミュニケーションを大事にする努力で、各国大使が心を開いてくれた

鎌田康生くん(3年)

■世界大会に向けてどのような準備をしましたか。

 

担当する委員会について、大きく分けて、担当国のウルグアイや議題の観光について調べるステップと、それをもとに主張する政策を決めるステップ、それから担当国以外の国の状況や、提案されそうな政策について調べるステップの三段階に分けた準備を行いました。

 

ウルグアイはスペイン語を公用語とする国ではありますが、分野を限らなければ英語で書かれた資料も多く、国について知ることはそれほど難しくありませんでした。観光についても、UNWTO(The World Tourism Organization of the United Nations:国連世界観光機関)という観光専門の国連機関が報告書を出していたりして、信用できる各国情報を手に入れることができました。

 

自分たちの政策を定める過程では、自国の観光と保全のバランスを考慮した結果、Responsible Tourism(責任ある観光)の推進が妥当であるとの結論に至り、これを提唱するための根拠や利点をリサーチしました。例えば、似た言葉であるEcotourism, Sustainable Tourismは国際的な定義がなされていませんが、Responsible Tourismは、定義がなされている、などといったことです。最後のステップにおいては、先ほども出てきたWTOの報告書の各国情報を参考にしたり、特に隣国で関係のアルゼンチン、ブラジルについてリサーチしたりしました。

 

大会全体に関しては、全日本大会で行った私が内政、ペアが外交といった役割文の再確認や、グループ内での意見集約のための手段の用意(ホワイトボードなど)を行いました。

 

■準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。

 

議題である「環境と保全」ということに関しては今までにも議論されてきた経緯があり、オンラインの論文などの資料も数多く見つかりましたが、ウルグアイは公用語がスペイン語であり、広く注目されている国ではないため日本語の資料はほぼなく、英語の資料もウルグアイと観光の関わりとなるとなかなか最適なものを見つけられませんでした。

 

 

■各国の高校生と出会って、日本の高校生はこんなところがスゴイ!と思ったことを教えてください。

 

日本からの大使が最も多くの準備や工夫をしてきていたことです。ホワイトボードや名刺を準備している大使はほかに見ませんでした。また、会議中に作成することになっている文書の自国案をもってきている大使も、他には数少なかったように思います。

 

■会議を進める上で一番大変だったことは何ですか。

 

会議初日の午前中に、自分のグループの中でマシンガントークを繰り広げる二人の大使についていけず、話を追うのがやっとで、全く切り込めなかったことです。お互いに相手の話が終わる前に被せていっていたので、切り込むタイミングをつかめませんでした。お昼休みの間に、ペアと研究の大学生にアドバイスをもらい、自分がまとめるから一人ずつ政策を話して、とグループで流れを作り、まとめ役を買って出ることで乗り越えました。

 

■大会を通して、あなたが一番頑張ったことを教えてください。 

 

コミュニケーションです。準備は日本代表団が一番だという話は事前に聞いていたので、会議行動が一番の課題であると自覚していました。特に、帰国子女でない私には英語の面でのハンディキャップがあるのはまぎれのない事実であるため、先に述べたようなことや他グループとの交渉時に理解されているか確認しながら話すなどの努力をしました。また、なるべく発言権を得られるよう、より頻繁にウルグアイのプラカードを上げました。

 

■今回の大会も含めた旅行全体で、最も印象に残ったことは何ですか。

[渡航経験は今回が4回目]

 

会議の中では「ウルグアイ!」などと国名で呼び合うことが多い中、「あなた自身の名前は何か」と聞いてくれた大使がいたことが最もうれしかったです。自グループ内で、他国の大使との絆を築けていたのかなと思えました。

 

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