自作の実験装置で、植物の葉に含まれる気体の量を測定してみた!

広島県立広島国泰寺高等学校 科学部 理数ゼミ生物班

左から勝原彩さん(2年)、伊達玄馬君(2年)、富島優馬君(2年)、松永諒君(2年)
左から勝原彩さん(2年)、伊達玄馬君(2年)、富島優馬君(2年)、松永諒君(2年)

◆部員数36人(1年生14人、2年生12人、3年生10人)


■研究内容  「葉の中に気体が含まれている?」

校内でセトウチマイマイというカタツムリの採集をしていた時に、偶然、樹木の葉の表と裏で色が違うことに気が付きました。不思議に思い、その理由を教科書で調べてみると、葉の裏側の海綿状組織に気体が含まれているのが原因であることがわかりました。


そこで、葉に含まれる気体の量は植物の種類によって違うのか、また葉に含まれる気体の量と気孔の数・大きさ、葉緑素の量の関係を調べました。


葉に含まれる気体の量については、注射器とメスシリンダーをシリコンチューブでつないだオリジナルの測定装置を作りました。


装置を減圧して葉の中の空気と水を置換し、減った水の量を気体の量としました。

校内に生えている24種類の植物の葉の気体量を測定した中で、気体量が測定できたツバキ・ムクゲ・クロガネモチ・ヤエヤマブキ・ニシキギ・イチョウの6種類の植物について、縦軸に気体量、横軸に気孔の数・気孔の大きさ・葉緑素量のそれぞれの平均値を取って、関係を調べました。


その結果、気孔の大きさが大きいほど気体量は少ないこと、葉緑素量が多いほど気体量が多いことがわかりました。


気孔が大きいと、外気と葉の中の気体が循環しやすいため、気体量は少なくて済むので、葉に含まれる気体量は少なくなると考えられます。また、光合成の際により多くの二酸化炭素を必要とするために葉緑素の量が多くなり、気体量が多くなると考えられます。

いくつかの植物では、この装置では気体量が測定できませんでした。これは、海綿体組織の構造によるものと考えられます。今後は、装置を改良して季節ごとの気体量の変化や、陽葉と陰葉の違いについても測定していきたいと思います。

■今回の研究にかかった時間はどのくらい?

2013年5月に始めて、毎日2時間、授業のない日は6~7時間の活動を1年間行いました。

■今回の研究で苦労したことは?

なんといっても実験方法です。どのような方法で気体量を測定するのかを考えるまでが大変でした。 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

気体量を測定するために、自分たちで考えた自作の器具を工夫して作ったことです。

■今回の研究にあたって、参考にした本や先行研究?

「図説教材生物」(下)体積法による葉の細胞間隔の測定 

■今回の研究は今後も続けていきますか?

今のところ模索中です。植物の生長ホルモンの研究もしてみたいと思っています。

■ふだんの活動では何をしていますか?

セトウチマイマイの起源と進化を探るための遺伝子解析の研究をしています。また、ダイコンのストレスと環境条件の研究もしています。研究で使う生き物の世話もしています。

■総文祭に参加した感想を聞かせてください。

・どの研究もレベルが高く、とても勉強になりました。また交流する場もあり、とても楽しかったです。サイエンスカフェでは、もう少し研究者の先生方と話がしたかったです。次はさらに研究を深め、一番いい賞をとりたいです。(富島君)


・器具の作成や実験の方法など苦労しましたが、参加できてよかったです。これからも研究を続けていきます。 (伊達君)


・どこの高校も研究レベルが高く、さすが全国大会だなと思うと同時に、自分たちの未熟さを感じさせられました。今後はさらに研究のレベルを高め、また出場したいです。(松永君)


・たくさんの他県の人とふれあい、意見交換をすることができ、とても有意義でした。(勝原さん)

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